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第28話 私はもうあんなことしない

 ()()()()()()()()()隙だらけな発言をする男子に対して真摯に対応する陽菜は本当にイイ子だと思う。

 ヤリタイ盛りの貞操逆転女子なのに思いやりもあって……やっぱり陽菜はどこの世界でも陽菜なのだろうと納得する。


「それじゃあさ、一つお願いしてもいい? 何でもしてくれるんだよね?」

 イタズラっぽい雰囲気で俺の顔を見上げる陽菜。胸のドキドキが止まらなくなる。二か月前は顔を見ただけで吐き気がしていたのに現金なものだと思う。

 俺ってこんなに惚れっぽかったっけ?


「イイよ。俺に出来る事なら……男に二言はないし」

 ドギマギしているのを隠したくてちょっとぶっきらぼうになってしまう。ひょっとしてこっちの世界の多々良恭介の童貞を奪われちゃうんだろうか?

「じゃあ、連絡先交換して」

 陽菜がスマホを差し出す。俺はさぞかし間抜けな顔をしていることだろう。


「えっと……もちろん良いけど俺の童貞が欲しいとかじゃなくていいの?」

「もう、何言ってるのよ。はい……QRコード出したから読み込んで」

 スマホの画面にはQRコードが表示されている。普通にこっちの世界の陽菜のIDをゲットした。


「それにしても俺のために川に飛び込んで助けようとしてくれるなんて思わなかったよ」

 俺のためでなくてもこっちの世界の多々良恭介のためであってもとにかく陽菜に感謝の気持ちを伝えたかった。


「うん……自分でもびっくりだよ。あの時は必死で。多々良くんが全然泳げないの知ってるし。それに結局自分も溺れちゃって全く役に立たなかったけど」

「でもすごく嬉しかったから。運よく岸に流れ着けて二人とも助かったんだし。あれをきっかけに春になったら水泳部に入ろうかと思ってるんだ。良ければ応援してよ」

 陽菜が目を丸くする。まあ写真部の多々良恭介がどんな心境の変化でいきなり水泳部に入るのかと驚いているのだろう。


「まあ写真も続けてみるつもりだけど……そう言えば俺が写真撮るようになったのって姫川さんにおちんちんの写真を撮られたからだから」

 こっちの世界の多々良恭介の真実は知らないが幼い頃のおちんちん写真の話題を出してからかってみる。


「私は()()あんなこと()()()から忘れてってば……それに病室で抱きついちゃったことも忘れて欲しいな、本当にごめんね」

 写真じゃ満足できないってことだろうか? それでも俺の前で真っ赤になっている陽菜はめちゃくちゃ可愛かった。

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