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第27話 もう私の顔を見て平気なの?

 公園にたどり着いて改めて陽菜に向き合う。ヒナとトラック(自分が死んだ瞬間)が頭を掠めて少しだけ鼓動が早くなるが、心配したほどでもない。

 入院とカウンセリングで俺のPTSD(トラウマ)はずいぶん改善したようだった。


 陽菜の姿を見る。色白の肌に優しそうな目元、髪の毛はカラスの濡れ羽色と言っていいような見事な黒髪ロング。背中の肩甲骨のあたりまでストレートに垂らしている。

 少しぷっくりした唇はキスしたくなるようで今の陽菜も元の世界のヒナも変わらずに魅力的だ。


 部屋着にしては白くておしゃれなワンピース。黒髪の陽菜には清楚で凄く似合っている。

 この貞操逆転世界では女性のファッションに関して明確に二極化する。元の世界の男子もそうだったけど、モテたい子は思いっきりファッションにこだわり、そうでない子は母親の買ってきた服を平気で着ていたりする。

 この貞操逆転世界の女子は服装で男子を落とすことが難しいのでそれでもアピールするか、適当になるかの二者一択なのだ。


 陽菜は明らかにファッションにこだわりのあるオシャレさん。これは()肉食という事だろう。

 こちらの世界でも陽菜は陽菜なので、肉食ならちょっと食べられちゃいたいかもなんて思うが、「ハーレム王に俺はならない!」と誓ったばかりなので友達の距離を保ちたいと思う。

 なんとなくこの世界の多々良恭介にも悪いしね。


「多々良くん、もう私の顔を見て平気なの?

 あの時はゴメンね。男の子は女の子に急に抱きつかれたら怖いことくらい分かっていたのに助かった喜びからギュってしちゃって……後で反省したよ」

 不安な気持ちを隠し切れない表情で陽菜が聞いてくる。陽菜から多々良くんと呼ばれるのは凄い違和感がある。


「えっと……あの時は俺の方こそ本当にごめん。気が動転していて。聞いたよ……姫川さん俺のことを助けようとして川に飛び込んでくれたっていうのに、あんなに冷たいことを言って。本当に申し訳ない。ごめんなさい」

 深々と頭を下げる。助けようとした相手がこの世界の多々良恭介で、今目の前にいる陽菜は俺じゃない多々良恭介の幼馴染であって、俺の知ってる陽菜じゃないんだとしても俺は今目の前いる陽菜に対して誠実でいたかった。


「えっと許してくれるなら何でもするから……」

 言い募る俺に対して

()()()()そんなに簡単に()()()()()なんて言っちゃいけないんだよ」

 クスクス笑う陽菜。その笑顔は俺の大好きだった陽菜を思い出させて見惚れてしまった。

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