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幼馴染を寝取られたが貞操逆転世界でハーレムを作って幸せになりたいと思う【完結済】  作者: みどりの
第二部 多々良恭介編 一章 多々良恭介と姫川陽菜
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第242話 もう、恭ちゃんのバカ。

 陽菜に電話で呼び出されて陽菜の部屋で浮気裁判みたいになった時はめちゃくちゃ焦ってしまった。

 間違いなくあの時の俺はひよりとお風呂に入ったし抱き合ったりもした。でもそこにやましい気持ちは本当になかったし、陽菜を裏切るつもりなんてなかった。

 でも陽菜が許さないといえば俺と陽菜の関係(お付き合い)はそれまでなのだ。

 そう考えるとゾッとする。ひよりとの時間を後悔してはいけないと思ってももしそうなっていたら確実に後悔してしまっていただろう。本当に一番大切な(陽菜)を失う所だった。


「本当に怒ってるわけじゃないから……付き合ってるとか付き合っていないとかじゃなくて恭介くんが人助けをするのを止められるとは思っていないし、止めようとも思ってないから」

「陽菜ちゃんがこれから恭介さんに守って欲しいのはちゃんと報告して相談することだと思うよ」

 しずくが補足してくれた。俺も本当にその通りだと思う。ごめんな陽菜。


「例えば恭介さん、その時Tシャツ着たままお湯をかけてあげることだって出来たよね。ひよりちゃんも水垢離用の薄い行衣(ぎょうえ)くらい道場にあるんじゃないの?」

 あ!? なんでそんなことに気付かなかったんだろう? 横を見るとひよりも驚いたような顔をしている。

「恭っちもひよりっちもテンパってたんだろうね」

「あはは、二人とも全くおんなじ表情なんだよ」


「恭介くんがもしもその時私にでもしずくちゃんにでも相談の電話を一本入れていれば今回みたいに浮気を疑われることもなかったわけだよね。だから次からは気を付けて欲しいな」

 陽菜に優しい目で言われてちょっと泣きそうになる。

 北風と太陽ではないけどここまで信頼してくれる陽菜の懐と愛の深さに感動して絶対に裏切らないようにしようと誓う。


「まあ、みおちゃんにお仕置きしてる時とかすごくイチャイチャしてるみたいに見えてモヤモヤしちゃうし、まるちゃんのことをおんぶしたり肩車したりしてる時もちょっと胸がチクチクするんだけどそれもダメだなんて言わないから自分でちゃんと考えて分からなかったら相談してね」

 うう、もう泣きそう。いやちょっとうるうる来ちゃってる。こんないい子を裏切るなんてありえないよ。

 ここはもうしずくに貰ったあの『きょうすけくんとしずくちゃん vol.4 イチャイチャ妊娠エッチ編』についても報告してしまおう。懺悔のチャンスだ。


「陽菜、一つ黙っていたことがあって、実は俺、しずくのことを妊娠させてて妊娠しているしずくとエッチしたりその後出産させて母乳を……って、陽菜? 陽菜!?」

 同人誌の説明をしている途中で陽菜が目をグルグルさせて真っ赤な顔で倒れてしまう。

 慌てて抱きとめるけどしずくもひよりも真っ赤な顔をしているし、みおはゲラゲラ笑っているし、まるは陽菜が倒れたと119番通報しようとするしあっという間に部屋がカオスになってしまった。

 どうしてこうなぁったぁぁぁ~?




 幸い陽菜は5分もたたずに意識を取り戻した。許容範囲を超えて頭がフリーズというかパンクしたらしい。

 今俺は陽菜に対して土下座をしながら家から持ってきた『きょうすけくんとしずくちゃん vol.4 イチャイチャ妊娠エッチ編』を差し出している。

 陽菜が手に取りペラペラめくって真っ赤な顔をしてうわ~うわ~って呟いている。ひよりが隣から内容を覗きながら真っ赤な顔で膝をモジモジさせている。


「一つつかぬことを聞くんだが、恭介の一物(いちもつ)※は本当にこんなにも大きいものなのか?」

「あ~、あーしは2回ほど恭っちの勃起ちんぽ握ってるし足コキしたこともあるけど大体合ってるよ。あ、でも形はもうちょっとカリの部分が……ぎゃぁ~痛いっ恭っち腕ひしぎ十字固めダメだってッ……イっちゃうから~」

「……これは凄いんだよ、ゴクリっ」


 もう部屋の中がカオスすぎて帰りたい。でもほとんど俺の責任と思うと逃げ出すわけにもいかない。

「恭介さんは頭はいいはずなのにたまに本当にワザとかなっていうくらいバカな発言とかセクハラするよね」

 世界で一番セクハラな同人誌(エロ本)を描いているしずくに言われてしまった。本気で泣きそうです。


「とにかく恭介くんが言いたかったのは本当にしずくちゃんとエッチして妊娠させたとかじゃなくて、こういう同人誌を新しく描かれたけどしずくちゃんがこの本を世に出すのを許してあげてもいいかっていうことなんだよね?」

 陽菜が適切にまとめてくれる。その説明がどうしてああいう言い方になるかなぁとブツブツ言っているのが申しわけない。


「わたしが言いたいのは恭介くんは女の子に頼みごとをされてこれは浮気になるのかなって疑問に思ったらすぐに私に聞いて欲しいってこと。

 それを守ってくれるなら後は私もちゃんと考えて判断するから……お互い様だよね」

 確かに俺だって陽菜が俺以外の男の腋毛を剃ったり、他の男の背中を流して一緒に湯船に浸かって裸で抱き合ったり、他の男の足で陽菜がアソコを弄られたりしたら絶対嫌だもんな……そう考えると陽菜ってすごい子だなって改めて思う。

 俺の彼女はやっぱり世界一……いや二つの世界を合わせても一番だと思う。


 これからは心を入れ替えて気を付けよう。

 今までの俺だと例えばひよりからあのちょっと剛毛気味の陰毛を剃るのを手伝ってくれってお願いされたら手伝っていた可能性が……って陽菜に頭の中を読まれてる? 怒られそうな気配。


「もう、恭ちゃんのバカ。本当にこの世界(貞操逆転世界)で二人っきりなんだから元の世界みたいなつもりでいたら大変なことになるんだからね」


 あっ! 思わず出ちゃった陽菜の幼馴染として(恭ちゃんへ)のお叱りの言葉なんだけど……ここには頭のいいしずくがいるから……


「恭介さん、陽菜ちゃん……お二人さんちょっと正座して今の言葉がどういう意味かを聞かせてもらえる?」

 しずくに二人揃って肩を掴まれ正座させられてしまった。


 今俺と陽菜はしずくやひより、みおとまるを前に正座させられている。

 陽菜がアイコンタクトでゴメンどうしようと聞いてくるが、こうなったら腹を決めるしかないんじゃないか? ギュっ、隣に座っている陽菜の右手を左手でしっかり握る。


「みんな聞いて欲しい、俺と陽菜はこの世界の人間じゃないんだ。正確に言うと体はそれぞれこの世界の多々良恭介と姫川陽菜なんだけど、よく似てるけど確実に違う世界の魂と入れ替わっちゃってるんだ」

 本当に正直に告白した。陽菜が心臓の手術の後、こっちの世界で目覚めたこと、俺が元の世界でトラック事故にあって川で溺れている多々良恭介と入れ替わったこと(流石に元の世界でのヒナの寝取られは伏せた)、この世界は俺たちから見たら貞操逆転世界で元いた世界は男の性欲がすごく強いこと。

 だから俺の性欲がこの世界を基準にするととんでもなく強いこと、そして俺と陽菜は元の世界でも仲の良かった幼馴染でこっちの世界でお互いの存在に気付いて恋人になったこと。


 みんながびっくりした顔をして、いろいろと疑問点を聞いてくる。俺たちは一つ一つ応えられる限りを丁寧に答える。俺がここに来てから2時間以上過ぎているが質問が尽きるわけもなく異世界についての、俺たちについての質問が続く。

「ちょっと待ってくれ、恭介。」

 ひよりがそういうと立ち上がってスタスタとドアに向かうとガチャリとドアを開けた。

「ドアの外に気配がしたんだ。

 私たちが恭介を連れ込んでからあんまりにも時間が経つから様子を見に来たさちえさんにも聞かれていたみたいだぞ」


 ドアの向こうにいたさちえさんはポロポロと涙を流している。

 俺がそんな風に泣くさちえさんを見たのは元の世界でヒナが荒れていた時以来で、こっちの世界では見たことのないさちえさんの顔だった。こっちの世界のさちえさんは俺たちのことを優しく見守って笑っているか俺をからかって笑っている顔だったから。


「お、お母さん……違うの、本当に私恭介くんと一緒にお母さんに本当のことを話そうと思っていて……」

 陽菜が慌ててさちえさんに話そうとしてる。それは今まで本当の娘じゃないのに娘として扱ってもらった申し訳なさや感謝を全て含んでいる複雑な感情で……隠し事をしていた後ろめたさがそこにはあって……


 タッ……さちえさんが部屋に飛び込んできて俺と陽菜の二人を片手ずつでギュって抱きしめてくれる。

「二人とも辛かったのによく頑張って来たね。本当によく頑張ったね……ゴメンね気付いてあげられなくて、二人が変わっちゃったのは分かったけどそんなことを想像も出来なくて……ゴメンね陽菜ちゃん、わたしお母さん失格だね」

 ボロボロ泣いているさちえさん。俺も陽菜も力いっぱい抱き返す。


「そんなことないよ……私お母さんの娘だから今日までこの世界で生きて来れた。

 お母さんの娘だから恭介くんと再会してちゃんと好きって伝えられた。

 お母さんがお母さん失格なわけない……私はお母さんのこと大好きだから……お母さんは世界一のお母さんだよ」

 陽菜もボロボロ泣いている。


「さちえさん、俺からも感謝させてください。陽菜がここまで健やかに育ったのもさちえさんのおかげだし、さちえさんがいたから俺もこの世界で心細いって思わずに済んだんです。

 それに、しずく、みお、まる、ひより。みんながいてくれたから今日まで生きて来れた。明日からも楽しく生きていける。本当にありがとう」


 俺たち3人を見ながら泣いていたみんなも俺たちに抱きついて泣き出す。

 みんなが泣き止むことが出来たのは陽菜のお腹が凄く大きな音を立ててくれたからだった。


ぎゅるるるるるるぅ~


「た、食べすぎただけだから……」

 みんなで泣き笑いしながら顔を見合わせて、陽菜は真っ赤な顔をして笑い泣きしていた。

※脚注 一物(いちもつ)は男性器の古い表現です。

    ひよりは古風なだけでどぶろっくのファンなわけではありません。


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