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第231話 汗だくではぁはぁ言っている恭介くん(陽菜視点)

 目が覚めると薄暗い部屋に一人だった。

 今日は体育祭だったはずだけど熱が下がらなくて参加することが出来なかった。全力で恭介くんの応援をしようと思っていたのに応援できなくって残念。


 でも「みんなの恭介くん」だからクラスのみんなが一生懸命応援して大活躍してるよね。ううっ……ちょっと悔しいけど私もカッコいいところが見たかったな。

 みおちゃんならビデオに撮ってるかもしれないし、卒業アルバム委員だからいっぱい写真があるはず。後で見せてもらってカッコいい写真があったら分けてもらおう。

 これはきっと「みんなの恭介くん」でも許されるよね。絶対他のみんなも貰っているもん。


 お昼から今日の夜のちょっと遅い時間までお母さんは用事があってお出かけ中。

 解熱剤も飲んだし額の上に濡れタオルがしてあったからずいぶん熱も下がったみたい。寝すぎぐらい寝ちゃったからちょっと頭がボォッとするけどいい夢を見ていた気がする。

 恭ちゃんがお見舞いに来てくれる夢。あれ? 恭介くんだっけ? よく分からないけどずっと一緒にいてくれるって言っていたのに起きたら誰もいないんだから夢だったんだよね。


 電気をつけて部屋の中を見渡すとなんだかちょっとだけ違和感。そうか、この三日間日記を書けなかったから机の上に日記を出しっぱなしにしちゃったんだ。

 あれ? でも本棚の日記の並び順が変? 小学生の頃から順番に並べてるはずなのに先頭が中学生の頃の日記の背になってるんだ。まあイイか……熱で並べ損ねちゃったんだろうし。


 う~ん……一つ伸びをして背筋を伸ばす。ちょっと汗をかいているからパジャマを着替えようかな? うん、そうしよう。そんなことないと思うけどもし恭介くんがお見舞いに来てくれたら汗臭いパジャマとか恥ずかしいもんね。

 プチッ プチッ プチッ

 汗をかいたパジャマを脱いで、パジャマの着替えは頭もとのテーブルの下の段にお母さんが置いてくれていたから引っ張り出して両腕を通す。

 後は前のボタンを留めれば……とボタンを留めようとしたところでバタンと大きな音を立て私の部屋の戸が開く。

 そこには汗だくではぁはぁ言っている恭介くんの姿があった。


「きゃっ」

「きゃ?」

「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!」


 必死でパジャマの前を合わせて押さえながら、思わず手元にあった脱いだばかりの汗を吸ったパジャマの上下や枕、頭にのっていたタオルとか投げられるものを片っ端から投げつける。

 女の子の着替えを覗くなんて……


「恭介くんのエッチーーーーーッ!!!」


「ちょ、ちょっと待って陽菜!? ワザとじゃない、ワザとじゃないから! タンマ、タンマ……後ろ向いているからちゃんと服を着て」

 慌ててパジャマの前のボタンを留める。上まで留めて一安心。


「もうこっちを向いてもイイよ。いくらこの世界の女の子が見られても平気だからってそういうことをしたらデリカシーが足りないって嫌われちゃうかもしれないんだからね」


 ギュゥッ!

 振り返った恭介くんが私のことを抱きしめる。ええっ!? 一体何がどうなっちゃってるの?

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