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幼馴染を寝取られたが貞操逆転世界でハーレムを作って幸せになりたいと思う【完結済】  作者: みどりの
第一部 十四章 小烏道場奮闘記? 竜王旗剣道大会!
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第224話 お医者さんからは説教されたらしい

 それからは本当に忙しかった。表彰式を終えて竜王旗を受け取る。小烏道場の復活の旗印にも見えた。これからも道場再興は簡単にはいかないだろうがひよりとみんなの力で得た最高の栄誉だ。


 私服に着替え終わった陽菜に小烏の足を冷やして休ませるように指示してみんなで防具などの荷物をとにかく大急ぎで車に積み込む。竜王旗も一緒にハイエースに。

 祝日の夕方ということでこの地域の救急外来を調べてとにかく小烏こがらすを病院に連れて行かないといけない。


 幸い整形外科クリニックが地域の休日診療をしていたのでちさと先生の運転で病院へ。

 みんなとは会場で別れて新幹線で帰って貰うことになる。帰りの引率もしずくに任せたのでそこは安心。


 行きと同じく三人の車中。帰りは後ろの座席を横長に空けるように荷物を移動して小烏を横に寝かせる。

 熱中症ではないんだろうけど小烏の顔がまだ火照ったままのようなのでドラッグストアに寄って貰って冷えピタシートを買って頭に貼る。


 病院での診察時間、小烏の足が心配で待合室でじっとしているのも落ち着かない。半袖Tシャツになっていた俺の腕やひじ、首筋には石動いするぎに滅多打ちにされた分でアザが浮き出ていたので看護師さんが俺のことも患者かと思い治療室に案内されてシャツを脱がされそうになったけど痛いだけで問題ないからと断っておいた。

 俺の治療までしているといつになっても終わりそうにないのでシップだけを処方してもらって適当に貼っておく。


 小烏の左足は捻挫だった。この状態でテーピングして試合したと聞いてお医者さんからは説教されたらしい。1週間の安静を言い渡される。

 体育祭が3日後、6月18日の日曜日だ。運動神経抜群の小烏が戦力外なのは痛いが、俺自身も全身筋肉痛と打撲でまともに競技に出られるかどうか。

 体育祭で活躍して陽菜に告白する作戦、大丈夫なんだろうか?


 車は小烏道場にむけて高速道路をひた走る。もう暗くなっている中、ライトをつけて。

 疲れ切った小烏は後ろの席で横になって寝息を立てている。たまに助手席から振り返って確認するが、その表情はまるで満腹になった子供のように満足そう。小烏をそんな寝顔にできたことが嬉しく誇らしい。


「まさかアンタたちが優勝するとは思わなかったわよ。本当におめでとう」

 ちさと先生がしみじみ言う。俺だって本当に優勝できるとは思わなかった。ここまで強い選手が沢山いるとは思わなかったし優勝できるとしたら小烏一人が全勝する可能性くらいしかないと思っていたから。


「想像してた100倍くらいみんなが頑張ってくれましたから」

 みんなの活躍を思い浮かべる。それぞれがそれぞれに出来ることを最大限にしてくれた。俺が勝てたのはまぐれだけど、そんな奇跡を導いてくれたのはみんなが俺を支えてくれたからだ。

「わたしが一番驚いてるのは多々良、アンタだよ。アンタが川で溺れて入院してからのこの半年間、わたしは本当に驚かされてばかりだ。それはアンタの周りの女の子達も同じことを思っていると思うけどね。

 それに……後ろで寝てる子《小烏》はもう一生アンタ以外の男に目なんて向かないと思うけど大丈夫なの? 話には聞いてるけど「みんなの恭介くん」だっけ? アンタのことだからいい加減は絶対しないって信じてるけど困ったら先生に相談しなさいよ」


 小烏に一度言われたことがある……俺が()()()で彼女が()()であるということを。多々良は「()()()」つまり日本古来の製鉄だ。たたら製鉄で作られた炭素を十分に含んだ玉鋼たまはがねという鋼鉄こうてつだけが日本刀を打つ材料になる。その()()()である俺が()()という日本刀を、小烏ひよりという一人の少女を鍛え上げたというのだ。

 その時には偶然の符合だと笑ったがこうしてお互いに鍛えあい高めあう関係にいると意外と名前というのは俺たちの関係性に影響を与えていたのかもしれないとも思うのだった。

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