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幼馴染を寝取られたが貞操逆転世界でハーレムを作って幸せになりたいと思う【完結済】  作者: みどりの
第一部 十三章 みんなの恭介くん? 告白までは何マイル?
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第207話 俺のことを懐かしい呼び方で呼んで来る

 結局、宿泊訓練はつつがなく進んだのだが途中ぶっちゃけあんなに班決めで揉めたのが何だったのかというくらいクラス全体が一つだった。


 昼ご飯は班ごとに飯盒炊爨、カレー作りをしていたはずだが、薪で火加減の調整をしたり、料理を作ったりが上手にできない班が多く俺と陽菜としずくと小烏こがらすは結局自分たちの班の行動もほどほどに他の班の手伝いに回ることになった。


「きょーちん、火がボーボー燃えてるから助けて欲しいんだよ」

 丸川からの消防SOSに対応すれば、他の班は火が消えたと言ってくるといった具合。

 しずくが調整して俺が動いて出来てない班の手助け。

 最近は洋食も作れるようになってきた小烏がカレーを手伝ってみせれば、陽菜は他の班の飯盒の炊き加減までコントロールして見せる。

 他のクラスからも声がかかる始末でなかなか忙しくも大変で楽しい時間だった。

 忙しく動き回っている陽菜とすれ違う時に微笑みを交わす。


 アウトドアにそれほど興味があるわけではないが、もし万が一陽菜が山で遭難したらと思って小さい頃にサバイバル技術に関する本を読みこんで実際に山でいろいろと経験を積んだのが今日初めて役に立ったと言える。うん、やっぱり俺は重いかも。


 オリエンテーリングに関しては各班、スマホを取り上げられているにもかかわらず班がすれ違い際に情報交換してあっという間に全班クリアしてしまった。ちょっとズルだけどな。


 俺たち男子の入浴を藤岡と丸川を先頭にした女子が覗きに来るのを俺がおとりになって小烏としずくが一網打尽にしたりした。


 入浴後はみんなでキャンプファイヤーを囲む。クラスのみんながいろいろと俺に話しかけてくれるが俺はみんなの輪から外れて宿舎の方に移動する。

 裏手に東屋あずまやがあって、その東屋はオリエンテーリングの際にチェックポイントの一つになっていた。


 その東屋の中のベンチに目的の人物を見つけて俺は腰を下ろす。ベンチには疲れ切った陽菜が横になっていた。

 いくら陽菜が健康になって来て土日に自転車で運動するようになったからと言っても元々病弱で体力のなかった陽菜に1日中朝から晩まで動き回る元気があるはずがないのだ。

 昼の飯盒炊爨の時に陽菜と交わした微笑み、あの微笑には小学生の頃に俺に心配かけまいとする微笑みと重なるものがあった。


 もっともその微笑みを見たのは元の世界の小学生の頃だし全くの勘違いの可能性もあった。だけど、陽菜が夕方の入浴時間にしずくと小烏に協力していない時点で体力の限界なんじゃないと疑っていたのだ。せめて俺が同じ班だったら注意することもできたんだけど、ずっと疎遠だったしずくや友人になって短い小烏だと分からなかったんだろう。


「恭ちゃん……?」

 陽菜が目を覚ます。寝ぼけているのか俺のことを懐かしい呼び方で呼んで来る。もっとも俺が懐かしいのは元の世界の陽菜だけど。

「大丈夫。俺が付いてるから安心して寝ていていいよ」

 そういうと陽菜の頭を軽く抱えて俺の膝に乗せる。太ももがちょっと硬いかもしれないが何もないところで寝るよりも痛くないだろう。

「ありがとう恭ちゃん……大好きだよ」

 俺は陽菜の髪を優しくなでる。…()()()()()をしていた時の陽菜よりも()()()()()として出てくる大好き。


 この恭ちゃんは俺の事じゃなくてこの世界で陽菜と一緒に育った多々良恭介へのものじゃないかと思うと胸が苦しい。でも、陽菜の中にあるその気持ちごと愛して見せるって決めたから、この世界の多々良恭介には悪いけど俺が全部上書きさせて貰うから。

「陽菜、愛してるよ。ずっとそばにいるから。もう離さない」

 キャンプファイアが解散してみんなが宿舎に帰ってくるまでの間、俺はずっと陽菜の髪をなでつづけた。

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