第180話 スーパーきょうすけくんボッシュート
「きょうすけさんのここ……もうこんなに硬くなってる」
しなやかな手で俺のアソコを握りしめて上下しながらしずくが俺の耳元で囁く。
「フフッ……感じちゃってるんだ。可愛い」
初めての時はあんなに緊張していたくせにすっかりエッチなことが好きになってしまった恋人が可愛くて仕方ない。
「愛してるよ、しずく」
唇にキスをする。舌を絡める情熱的なキス……二人の唇が離れる。
つぷっ……二人の唇と唇を繋いでいた唾液の橋が途中で途切れて落ちた。
「きょうすけさん」
しずくが恋人の股に顔を近づけて口を開いて頬張る。頭を前後に動かして刺激していく。
高まっていく俺の感情がその表情からもうかがえる。
「もうダメ、しずく……出るっ!」
欲望を口の中に吐き出してしまう。
「んぐぅっ……んッ……ゴクッコクッ……ぷはぁ。きょうすけさんの白いの……練乳みたいで甘くて美味しかったよ」
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ちょっと待て! 甘くて練乳みたいな男の股間から出る白いのって何だよ!
確かに質感はそれっぽく描いてあるけど甘くなんてないし、美味しいわけがないわ!
リーオこと芥川理央が原作を作り、ドロップロック先生こと岩清水しずくが作画した『きょうすけくんとしずくちゃん vol.3 ラブラブエッチ編』の内容に俺は全力で突っ込んだ!
今俺たちはしずくの部屋にいる。初めて入ったお嬢様の部屋は意外なほど普通だった。
学習机があって、ベッドが置いてあってそこに並べられたぬいぐるみがあるくらいで。
俺たちが突然襲撃したために机の上に置いてある写真立てに俺の写真が飾ってあってそのままになっている。普通は倒して写真を隠す余裕があるのだろうが今回は残念だったな。
そして、本棚には薄い本がずらーっと並んでいた。
あのお見合いの日に琴乃刀自が言っていた「しずくも男に興味を持つ年ごろであろう。その証拠にしずくの本棚には……」の意味が分かった。エッチな本がずらーっと並んでいたのだ。薄い本に18禁コミック、エッチな小説まで。
全て女性向けのアダルトコンテンツ。俺だってまだ18歳になってないから本来見ちゃダメだけど、興味があるのは分かるからそこには何も言わない。
その上自分でも俺と委員長本人をモデルにした同人誌まで描いてるとは……
俺の目の前でカーペットの上に正座させられている委員長と芥川。茶道なんかで正座慣れしているであろう委員長には何のバツにもならず芥川の足ばかり痺れていそうでなんか申し訳ない。
ふたりの目の前で陽菜と額を突き合わせるようにして確認した「きょうすけくんとしずくちゃん vol.3 ラブラブエッチ編」の中身が冒頭のエロシーンである。
この後もまだまだエッチが続いて全32ページで濃厚な絡みが続く。ここで俺が事細かに詳しく解説しちゃうとこの物語が終わるかもしれないエロさだ。何しろ子作りセックスだから。
ちなみにこういうことは書きたくないが、俺の裸体と獣のヤリが物語の主役だ。
女性向けだから男の体がオカズのメインになるコンテンツなのだ。なので俺の裸体ばかりが大ゴマで書かれている。女のしずくの裸は添え物ではある。
vol.3ではヒロインのしずくをヒーローの恭介がお見合いから救い出し、そのまま愛を確かめるためにエッチなことをするという展開なのだがこの作品はすでに第三弾。第一弾で疎遠だった幼馴染の俺が恋に落ちて優しくしずくの処女を貰い、二作目でライバルキャラが登場したりして二人の愛が深まりエッチして、三作目で恋人のピンチを乗り越えてついに子作りする。
陽菜は顔を手で覆いながら指の隙間からガン見して読んでいる。やはり女性向けの同人誌が女子にとっては元の世界の男性向け同人誌並みにヌケる内容になっているようだ。
エッチなことが大好きなエロ師匠の陽菜は興味津々のようだ。陽菜も正座して読んでいるがさっきから膝をモジモジして太ももをすり合わせたりしている。ただ足がしびれているだけかもしれないけど。
で、冒頭のシーンのツッコミ、精液が甘いわけがあるかというツッコミに戻る。
「この作品には間違っているところがある」
俺が言うと陽菜がはっ、と何かに気付いた顔になった。陽菜も分かったらしいので陽菜は精液の味を知っているのかもと微妙な気持ちになりながらも解答権を陽菜に譲る。
陽菜が元気な声で答えた。
「恭介くんの体はもっと筋肉質。あとあと恭介くんのおちんちんは実物の方がだいぶ大きい!」
はい、スーパーきょうすけくんボッシュートです! チャーラッチャラッズズズーン♪
陽菜は嬉しそうにしてるけど解答権《きょうすけくん人形》を与えるんじゃなかったよ!