第176話 保健室にのこのこついてくる俺って据え膳?
始業式が終わってホームルーム。
「は~い、じゃあ今年はこのメンバーで1年間送っていきます。一年間無事故で担任のアタシに迷惑をかけないように。特に多々良、事故と交友関係に気を付けて」
いつものちさと先生だ。
担任として陽菜だけ仲間外れにせず同じクラスにしてくれたのは嬉しいがいつものように俺をオチに使うのはやめて欲しい。あと、交友関係とかいうな。まだ童貞だし不純異性交遊で問題になるようなことはしていない。
「じゃあ、学級委員は……委員長、委員長が委員長をやってくれる。あれ? 岩清水さんがいない」
キョロキョロと岩清水を探している担任教師。さてはメガネと三つ編みで認識してたな。
「先生、私はこちらにおりますわ。今年度からコンタクトにいたしましたの。よろしくお願いいたしますわ」
お嬢様のガワを100%にして岩清水がちさと先生をからかう。
ちさと先生のポカーンとした顔。
女子もそして男子さえも岩清水の変わり方にビックリしている。
「ど、どうしたの委員長……春休みデビューしちゃった?」
「いえ、私の想い人はこっちのモードの方が反応がいいので……イイですよ、先生。今年も委員長を引き受けさせてもらいますね。
それじゃあこの後は先生から私が引き継ぐから、他の委員を決めていくからね」
前半俺の方を見ながら言って、後半切り替えて委員長モードになっている。
お嬢様の格好で委員長モードも新鮮でいいかも。ちょっと見惚れてしまう。
委員長の仕切りでクラスの委員がどんどん決まっていく。
小烏が風紀委員は鉄板で、陽菜は読書好きなので図書委員、藤岡は卒アル委員で、同じ光画部だけど俺は保健委員になった。
陽菜が体調を崩した時に保健室に連れて行くのは俺がするから大丈夫。他の人間にこの役割を譲る気はない。体調を崩さないでくれるのが一番だけどね。
もう一人の女子の保健委員は丸川になった。中学生の時に全校生徒のほとんどがインフルエンザになって寝込む中、学校閉鎖になる直前の最後の最後まで登校していた健康優良児っぷりが評価されての抜擢。何があっても最期まで保健委員が残る仕組み。
ゆうきは俺と一緒に保健委員をしたがっていたが、男子二人で保健委員なんてありえないと却下されて涙目になり、結局もう一人の学級委員に選ばれてしまっていた。
「陽菜が保健室に行くときは俺が連れて行くから」
「行かないから! 私は健康だから!」
大きな声で俺が宣言し、陽菜が返すとクラスが笑いに包まれながらもちょっとエッチな目で女子から見られてるのを感じる。
あれ? 去年の俺を知ってる女子から見たら体調が悪いって言ったらベッドのある保健室にのこのこついてくる俺って据え膳? ちょっとだけ背筋が寒い思いをした委員決めだった。
その後はちさと先生から1学期のスケジュールとして5月に宿泊訓練と6月頭に体育祭、7月に生徒会長選挙があることの確認があり、高校二年生の初日が終了した。
陽菜も一緒だし楽しい一年間になりそうだ。
2年生に進級して物語は急加速!?
この物語に急加速なんて言葉があるのか?
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