第165話 北野先輩、去年より胸が大きくなってませんか?
今日は4月の最初の月曜日。
まだ春休みなのだがうちの高校の場合は今日がプール開きだ。
と言っても水泳部だけの話で気温、水温がまだ低いこの時期から学校がボイラーを使ってプールを温めて泳げるようにしてくれる。
待ちに待ったプール開き。この日に備えて水着も買いに行ってきた。
そういえばこっちの世界の多々良恭介は水着の類を一枚も持ってなかったけど水泳の授業とかどうしていたんだろうか? 生理と言い張って休めるとも思えないし。
とにかくこの日に備えてずっと陸上でのトレーニングを積んできたから今の自分のタイムを確認したい。
あ、先に言っておくけどちゃんと陰毛の処理はしてきてるから! へそ毛とチン毛をハミ毛してまた阿鼻叫喚みたいなアホな展開はもうさせないから。
ちゃんと学習してるんだよ。女子高生がムダ毛処理怠って水着からはみ出してたら絶対ヤバいもんな。こっちの世界だと特にしっかりしないと。
特にプールのフェンスの外側に写真部所属の盗撮魔が一人、バズーカーみたいなレンズのついたカメラを構えてるからたちが悪い。何がたちが悪いって腕に「写真部 卒アル写真撮影中」の腕章を付けているのだ。
いつかあの合法盗撮犯を捕まえて腕章を取り上げないと思うのだがコンテストとかでの実績が凄すぎて俺の立場ではどうにもできない。
お前のことだぞ藤岡みお。
もっとも同じようにエッチな覗き目的で来てるのかフェンスの外には女子ばかり10人くらいいるんだけどな。
「あ、きょーすけ、お待たせ」
男子更衣室の前で待っているとゆうきが来て男子水泳部兼更衣室の入り口のカギを開けてくれた。
一応水泳部は男子水泳部と女子水泳部に分かれていて、授業でも使う男女の更衣室がそれぞれ部室になっていて更衣室の奥に部活用の道具が置いてある棚と俺たちが使えるロッカーが置かれている。
女子更衣室の方が先に開いていたので向こうの方は今、着替えてる最中なんだろうきゃあきゃあと華やかな笑い声がする。
「北野先輩、去年より胸が大きくなってませんか?」
「うぇっ、水着が去年よりパツパツになっちゃった……はぁ、今年も買い替えか~」
などとけしからん会話が聞こえてきてる。
思わず覗ける穴はないか探しそうになるが、あるとしたら逆に女子の部室から男子の部室を覗く穴が開いてるんだろうなぁと思い直して諦める。
いや、最初から覗く気なんてなかったから。
でも元の世界でも巨乳だった北野ゆかり先輩がこっちの世界ではもっと巨乳な水泳部部長になっているというのはこれからの部活の楽しみの一つになりそうだった。
最近真面目なので忘れられがちですが、恭介くんは基本エッチなことが大好きな普通の男子高生です。