第114話 二人とも土曜の午後は駅前集合な
「うむ、土曜日か。今週は剣道部の試合もないし土曜の午後からなら大丈夫だ」
小烏が答える。機種変にするか、キャリアごと変えてしまうか。
「ひよりのガラケーはソフトバンクか、どうせなら機種変よりもMNPで乗り換えた方が安くつくと思うけど」
「ふむ、乗り換えというのはよく分からないが恭介はどこの携帯なのだ?」
「俺はAUだな。中学から使い続けてるから機種はちょっと古くなってきてるけどiPhoneSE(第二世代)だ。若干小さめの方が好きだから気に入っている」
「そうか、なら同じところでイイ。同じ方が教えてもらう時に便利だろう」
教えてもらうこと前提なのはいっそ潔いまであるな。小烏が一から勉強してインスタが更新できる未来が想像がつかない。
「じゃあ乗り換えてAUにしてiPhoneの乗り換えやすい機種にするってことで。土曜日の午後で予約入れるから駅前に集合な」
スケジュールまで決めてとっととネット予約を入れてしまおう。
「えっと……恭介くん、恭介くんがAUショップに行くなら私もついて行って一緒に私が機種変するのを手伝って欲しいんだけど……」
陽菜が小さく手をあげて恥ずかしそうに言う。今の機種がAUのアンドロイドでOSアップデートにもう対応していないのでそろそろ機種変したかったらしい。
「わ、私もiPhoneにしたいって思っていたから恭介くんに教えてもらえると嬉しいな」
まあ、陽菜と小烏と一緒に携帯ショップに行くなら一度に済んでいいだろう。教えるのも二人同時でも効率的だと思うし。
「よし、じゃあ二人とも土曜の午後は駅前集合な。と、昼休みがなくなるからご飯を食べよう。
今日は……おお、陽菜がハンバーグ作ってきてくれたんだ。ひよりは炊き込みご飯で委員長のサラダは菜の花が入ってて春っぽいな。
全部美味しそう。いただきます」
手を合わせるとみんなが作ってきてくれたお弁当を食べ始める。
本当に手が込んでて美味しいお弁当を作ってきてくれることに感謝の気持ちで食べすすめる。
ご飯を食べながら皆の携帯を確認してみたが、藤岡と岩清水がカメラが3つ付いてる大きい方のiPhone14 Pro Maxでそれぞれ色は黒と銀、丸川が意外なところでガラスマと呼ばれるガラケーと同じ形をしたスマホでストラップが本体よりも重いんじゃないかってくらいぶら下がっていた。
ゆうきはXperiaで土曜日に陽菜が機種変したらこの中で唯一のアンドロイドになるみたいだった。
カメラにこだわりがある藤岡がカメラの3つ付いているiPhone14 Pro Maxなのはなんとなく納得だが、岩清水はちょっと意外だった。
「委員長ってひょっとして携帯にこだわりがある方?」
「おばあちゃんがこの前新しいのを使ったらいいって買ってくれて……高いからいいっていったんだけどね」
苦笑いしている岩清水にそういうこともあるのかなと思いながら、全部食べ切ってごちそうさまをして昼休みが終わった。