第110話 和風を選ぶあたりブレない刀剣女士
俺が撮った笑顔の一枚は奇跡の写真として藤岡も大絶賛だった。
ここまでに撮れている緊張しているけど凛々しい写真とUR写真のギャップでこれは絶対にバズると藤岡が太鼓判を押すので早速藤岡に教えて貰って小烏道場の、刀剣女士のアカウントを立ち上げる。
藤岡が大バズりしている淫スタグラムじゃなくて、俺が元いた世界にもあったインスタグラムの方にアカウントを作成した。
当たり前だ! あの小烏に18禁なことをさせてたまるか。
藤岡のインスタグラム(こっちもやっていた)の方でも宣伝して貰うとポツポツとイイね!やフォロワーが増え始めて最初の一時間であっという間に300フォロワーがついた。
どんどん増えていくイイね!の数を見ながら三人でハイタッチをする。
「ありがとう多々良。全部多々良のおかげだ、いや、みお師匠も……本当にどうお礼すればいいのか……」
小烏が少し涙ぐんでいる。頭をポンポンとかるく二回たたいてから撫でてやる。
「お前の想いがあったからこそできたことだろ。俺とみおは力を貸しただけだから」
小烏に言ってやると藤岡がジーッと俺の手を見つめている。
流石にこれは鈍い俺でも分かったので藤岡の頭もなでる。
「ありがとうな、みお。お前がいなかったら俺と小烏じゃ最初の一歩も踏み出せてなかった。ほんとうにありがとう」
といったところで小烏のお腹がくぅっとかわいく鳴った。
時刻はもう夕方になっている。
「飯でも食いに行くか。マンションの近くにファミレスがあっただろ、あそこで良ければ今日は俺のおごりで」と言いかけたところで二人が食いついた。
「流石プロデューサー、太っ腹」
「ふぁみれすか、行ったことがないから一度行ってみたいと思っていたのだ」
結局、三人でファミレスに向かう事に、藤岡の家の玄関に置いてあったゴミ袋を見ると(見えてしまったのだ)ウーバーイーツ的なものをよく頼んでいるようなのでそれでも良かったのだが、ファミレスに行ったことがない発言が俺と藤岡に刺さりすぎてファミレスに決定してしまった。
今、藤岡と道着のままの小烏の二人でドリンクバーをつぎに行っている。俺はテーブルで竹刀のお守り(?)
三人の注文したメニューはそれぞれ俺がミートドリアで、藤岡がカルボナーラスパゲティ、小烏が和風ハンバーグセット(お子様ランチではない)だった。
ここでも和風を選ぶあたりブレない刀剣女士だった。ドリンクバーを美味しそうに飲んで、和風ハンバーグを箸で食べる小烏の姿がなんだかかわいかったので、その写真もスマホで撮って#刀剣女士でインスタに投稿したところこっちも好評だった。
奇跡の写真とハンバーグ小烏はその日の夜には1万イイね! を越えて刀剣女士のアカウントはプチパズりしていたのだった。
貞操逆転世界に11話で転移してから、ここまで100話の物語を紡いできました。
100話の積み重ねがあったからこその物語が書けていればいいなと思っています。
ここまで付き合って下さったからこそのキャラクターたちがみんなで紡ぐ物語、楽しんでいただければ幸いです。