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第1話 俺が見間違えるはずがない

「おい恭介、この動画見てみろよ。めちゃくちゃエロいぞ」

 俺と同じ水泳部の同級生、村上がスマホの画面をこちらに向けてくる。


「なんだよ、今日もオカズシェアになんか流れてきてるのか?」

 俺も男子だからちょっとニヤついてしまう。

 昼休みの1年5組の教室。昼の弁当を半分食べたところでそんな下世話な会話が始まってしまう。


 ちなみに「オカズシェア」というのはこの高校の男子の有志によるSNSグループのことで、メンバーが見つけたエロい画像や動画を共有してオカズにするという女子に知られたら一発でアウトの最低な情報共有オカズシェアである。

 そこにはクラスの女子たちの胸囲データだとか、ブラのサイズとか、エロ本のお気に入り画像を勝手に共有したりとエロい情報に溢れている。


 水泳部に入った理由が「水着の女子を一番近くで見たかった」という最低な理由の村上も当然のごとくそのグループに入っている。ちなみに村上は俺のカノジョからはゴリマッチョと呼ばれている。全身かなり毛深く胸毛ももじゃもじゃで筋肉質な村上にぴったりすぎるが本人はあまり気に入っていない。


「おう、オカズシェアに久々の逆転満塁サヨナラホームランみたいなのが来たんだよ」

 興奮気味の村上が唾を飛ばしながら力説する。野球もろくに知らないゴリマッチョのくせに……俺の弁当に唾が飛ぶだろうが。


 俺はカノジョがいるのでオカズシェアのお世話にはなっていない。高校に入ってまだオカズシェアのことを知る前に幼馴染の姫川陽菜と付き合い始めたからだ。


 陽菜は……いつも頭の中でヒナと呼んでいるからここからはヒナで統一しよう……ヒナは隣のクラスの1年4組でクラスこそ違うが幼稚園の頃からの幼馴染でいろいろあって今年の6月に付き合い始めたのだ。


 茶髪のショートボブがよく似合う黒ギャルである……そう、俺の幼馴染でカノジョのヒナは黒ギャルなのである。

 小さい頃は大人しい女の子で俺の後をいつでもついてくるような子だったのにどうしてこうなった?


 だけど俺は小さい頃からヒナのことが大好きだったからヒナと付き合えてエッチなことまで出来る今の生活に満足している。


「まあいいから見てみろって、ッと…こんなの音声出したら女子にモテなくなっちまう。イヤホンイヤホン」

 とイヤホンジャックを差し込んで片方ずつお互いの耳にイヤホンをハメる。二人で顔を寄せ合うように画面を見つめて再生。

 周りで一部女子が何か反応している気がするが二人でエロ動画を観賞しようとする俺たちには関係がなかった。


 ……動画が始まる。

「サッカー部の2年の西田先輩が昨日の夜アップした動画だ」

 自慢気な声だけで隣の村上がドヤ顔をしてるのが見なくても分かる。


 動画は薄暗くあまり画質はよくなかったが、女の子が男の上にまたがって腰を振っている場面で始まっていた。

 どう見てもAVなどのプロが撮った動画ではなく素人が撮ったいわゆるハメ撮りというやつだろう。

 女の子の顔は映っていない。腰から首のあたりまでが映っていて大きな胸が弾むように揺れている。


「ああ、先輩……気持ちイイです♡ 先輩……先輩♡」

 ラブラブなカップルの行為がそこには映し出されていた。薄暗くても汗だくになって上気してる肌が妖しく艶めく。


 片方だけ挿しているイヤホンが村上側でよかった……イヤホンごしでも村上がはぁはぁいっているのが聞こえてくる。

 画面の中の女の子の喘ぎ声とシンクロしたら最悪だと思う。


「先輩……先輩のが、生で気持ちイイ♡今日、安全な日だから……最後は一緒に♡」

 女の子が一層激しく動き、それを下の男が追い撃つ。


 が、俺は最後まで動画を見切ることなくイヤホンを引きちぎるように外すと教室を出る。


「お~い、トイレに行くならスマホ持って行けよ~」

 村上の能天気でアホな声が口を押さえて吐き気をこらえながらトイレへ走る俺の背中に投げかけられる。


 俺が見間違えるはずがない。あの動画の女の子は()()()()()()()()()だった。


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カクヨムでちょうど一年前の5月26日にスタートした物語になります。

「小説家になろう!」でも公開させていただきます。

不定期更新していきますのでブックマークお願いします。

カクヨムにて完結済みの作品です。

続きを読みたい場合は下記のURLへどうぞ。

https://kakuyomu.jp/works/16817330657862919436

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