表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アーモのネイルサロンへようこそ  作者: 夏八木 瀬莉乃
99/109

48-2 新しい契約開始

 

「でも、ミシュウさんがいなかったら、今日からどうしたらいいんだろう?」


「ああ、その事もミシュウから聞いてる。ちょっと待ってて」後ろの棚から手帳を取りだすと、挟んであるメモを取りだし「今日からやることに付いて」と読みはじめる。「来月頭に開催される剣道の県大会に向けて練習しろ」


「は?」眉間にしわを寄せて聞き返すと「まずは、県大会で優勝するために練習しろということでしょうね」

「それは頑張りますけど、それとこれって関係ないでしょう?」


「えっと、もし、県大会と今回の契約延長に付いて文句を言ったら、優勝できなかったらその場で契約不履行(ふりこう)となり、幸せが一つ消えると言えって言われたけど」

「エエエエエエエエッ! なんですかそれ!」


「まあ、ミシュウの性格は十分理解してると思うけど」

「……ぶっ飛びすぎてませんか?」

「たぶん、何か理由があるんだと思うよ」

「どんなことですか!」


「そこまで説明はできないけど、何の理由もなく突拍子もないことは言わないと思うからね」

「……まあ、それは私もそう思いますけど」


「……ワン」


「エッ? アーモ君、起きた?」千奈津がソファ横のクッションで寝ていたアーモに声を掛けると「フワァ」大欠伸をして立ち上がり、伸びをすると「ワン」と千奈津に向かって一声鳴く。


「ああ、お腹空いたんだ。海鮮丼があるけど、それでいい?」

「か、海鮮丼を食べるんですか?」耳を疑うあやね。

「中身はアモニスチーフだからね」

「それはそうですけど……」クッションの上で首を回すアーモを見る。


 千奈津は立ち上がるとキッチンへ行き、冷蔵庫からアーモ用の海鮮丼を取りだすと「わさびは入れる?」

「当然」と言って横長のソファへ移動してくる。


「……アーモチーフ。元の姿に戻るんですよね?」

「当たり前だろう」ソファ横へ来ると、ダックスフンドの姿から人型へ変化してソファに座る。

「……本当にアーモチーフだったんですね」

「誰だと思ったんだ?」千奈津が持ってくる海鮮丼を受け取り、食べはじめる。


「アーモチーフはリエルさんの見送りには行かなかったんですか?」

「行く必要ないだろう。奴は任務で同行するんだから」

「まあ、そうですけど。ミシュウさんは行きましたよね?」

「私が行かせたんだ」


「アーモチーフが? なんでですか?」

「今回の騒動の報告書を書かせるためだ」

「今回の騒動、ですか?」


「そうだ。チィ、みそ汁か澄まし汁はないのか?」

「いつものインスタント味噌汁なら全種類あるけど」

「なら、豆腐と薄揚げのを入れてくれ」

「豆腐と薄揚げね」


「……アーモチーフは和食好きなんですね」

「ここは日本だからな」

「ああ、そういう意味ですか」


「あやねちゃんも何か食べる? お客さんから貰ったラング・ド・シャがあるけど」

「食べます!」

「チィ」

「チーフの分もちゃんとあるよ」

「そうか」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ