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アーモのネイルサロンへようこそ  作者: 夏八木 瀬莉乃
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6 謎の美女

 

(すっごい美人! スーパーモデルみたい! なんでこんなところにいるんだろう? 千奈津さんとどんな関係なんだろう?)


 驚いて固まるあやねに「ミシュウ、お客さんを驚かせたらダメだっていつも言ってるでしょう? あやねちゃん、固まっちゃったよ」

「なにを固まる必要があるんだ。おい! 」

「あ、は、はい!」


「一昨日、アーモを、盗人(ぬすっと)寸前の生意気な小僧連中から助けてくれたそうだな」

「は、はあ、まあ」

「その礼だ。素直に受けとれ」

「……はい……ありがとう、ございます」


(外国人なのに日本語ペラペラ。どこの国の人だろう? アメリカ? フランス? イギリス?)

 思い付く外国を考えても区別がつくわけもなく(そもそも、人間のような気がしないのはなんでだろう?)

 不思議なオーラをまとっているので、謎としか言えない。


「それじゃ、あやねちゃん、また明日ね。そうだ。明日は部活早く上がれる? ネイルやるの時間が掛かるから、五時半くらいに来てくれると助かるんだけど」

 千奈津が話を進めるので「あ、はい。わかりました。三十分くらい早く上がる感じだから、大丈夫です」


「良かった。くれぐれも、ここのことは他の人に言わないように、気を付けてね」

「あ、そうでしたね。わかりました」



 翌日の剣道の練習。

「あやね。調子戻ったみたいだね」

「うん。心配かけてごめん。何とか大丈夫」

「でも、あんまり寝てないんだろう?」

「まだちょっと、気になっちゃって」

「フウン。でも、一体何を見たの? あんなに落ち込むなんて普通じゃないよ」

「……うん、まだ、思い出すと、衝撃が(よみがえ)る……」ウルウルウル。


「あやね、正直に言うんだ! どこのボケナス男なんだ!」

「エッ、どうしてわかるの?」

「やっぱり。そうだと思った」

「やっぱり?」

「わかるよ。いつも座山(すわりやま)駅の連絡通路出口で、誰か来るのを待ってるだろう?」

「あ、そ、そ、そ、それは……」


「そいつは誰だ?」

「そいつが何かしたんだろう?」

「何があったんだ?」

「……みんな、ありがとう。心配かけてごめんね」ゴシゴシと涙をふく。


「あやね……」

「半月、半月の我慢」

「ハァ? 何が半月なの?」

「何でもない。ごめん。今日はちょっと早く上がる」

「本当に何があったの? あやねが部活早く上がるなんて、今までなかったよ」

「ちょっとね。行かなきゃいけないところがあるから」


「どこ行くの?」

「この前、かわいいワンちゃんと知り合ってね。その仔のところに行くの」

「あやね、犬好きだったっけ?」

「この前から犬好きになったの」

「どういうこと?」


(アーモ君のことは話しても大丈夫かな? あのネイルサロンのことを話さなければいいんだよね)


「実は……」アーモ君と出会ったときのことを話すと「ああ、追い駆けてた男子たち、知ってる。北条高校の悪グループでしょう?」と一人が話しだす。「何でも転校生が中心となって、孤立してる生徒を引き込んでるって噂だよ」

「ヘェ、そうなんだ」


「自信を付けるためにいろんな事にチャレンジしてるって言い訳してるみたいだけど、他人に迷惑かけたらダメだよね」

「言えてる」


「でも、孤立してる生徒の居場所になってるんじゃない?」

「あやねはいつもそうやって同情するんだから。前向きな理由で活動を始めても、他人に迷惑かけるようになったらダメでしょう」

「まあ……そうだよね」

「そうだよ」

 

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