43-1 知っていた
「そういえば、もう一人のイケメンとあの超美人のお姉さんは来ないんですか?」先崎がふと気になってアモニスに聞くと「あいつらは犯人に会いに行ってる」
「……犯人?」ポカンとした顔をする。
「寄生生物を誰に売ったのか、聞きに行ってる」
「どういうこと?」その二とその三を見ると「私たちも初耳」二人もポカンとした顔をする。
「あの、犯人て、どういうことですか?」その二が聞くと「今回の事件の発端人のことだ」
「捕まってるんですか!」
「今度大声を出したら、病院から摘まみだす」
「……大人しくしてます」
「とにかく、誰に売ったかがわかれば、なんとかなるんですか?」先崎が気を取りなおして小声で聞くと「半分はな」
「どうして半分なんですか?」
「寄生された生物を捕獲する方法がわからないと、身体を乗っ取られるからだ」
「エエッ!」と声を出してしまったので、慌てて「すんません!」
「……気を付けろ」
「はい!」
それから一時間くらい膠着状態が続き、深夜ということもあって、その二とその三がウトウトしはじめる。
「おい、寝るなよ」先崎が声を掛けると、ハッとして目を覚ますが、気疲れしているせいか、またすぐにウトウトしはじめるので「寝かせてやれ」アモニスが声を掛ける。
「はあ」
「お前は眠くないのか?」
「それどころじゃねえから」心配そうに桧山とセイジツを見ると「桧山は寝てるみてえだけど」
「寝てるんじゃない。餌を食べてるんだ」
「まじっすか! じゃあ、その一は……」絶望感が襲ってくる。
「まだ大丈夫だ。寄生生物は孵化したばかりだから、まだそんなに量を食べられない」
「なんで孵化したばかりだってわかるんですか?」
「数日前まで、桧山もセイジツも変わりなかったからだ」
「ああ、なるほど。でも……」
「そうだ。数日たって大きくなると、餌を求めて人を襲いはじめる」
「……まるで、映画のストーリーみてえ……」
「あやね。大丈夫か?」
「はい。緊張してて、まったく眠くないです」
「そうか。無理するな、と言いたいが、もう少し、頑張ってくれ」
「はい」
「もう一人のイケメンと超美人のお姉さんは、売った人を聞きだせないのかな?」一向に戻ってくる気配がないので、心配すると「そうでもない」相変わらずあやねのほうを向いたまま話す。
「 戻ってきてるんですか!」
「戻るもなにも、どこにも行ってない」
「……あの、どういうことですか?」
「それは、お前が来るのを待っていた、ということだ」
「エッ! それって、俺が犯人だと言うんすか!」
「違う。お前じゃない。そうだろう? セス」
「セスって誰?」
「お前のサポートとして付いてるガイドスピリッツで、私の部下の一人だ」