42-3 招かれざる客
「とにかく、お前らは部屋の隅で大人しくしてろ」先崎の腕を掴んでその二とその三がいる場所へ連れていくと「その前に、どうなってんのか説明してくれよ。俺が呼び出されたってどういう意味だよ」
「餌だ」
「えさ?」
「養分となる餌を集めてるんだ」
「どういう意味だよ?」
「なんか、桧山君とセイジツ君には寄生生物がいるらしくて、成長するために餌を呼んでるらしいよ」その三が説明すると「桧山が寄生されてる!」
「静かにしろ! 見つかったら病院にいる全員がアイツらの餌になるんだぞ」桧山とセイジツを見るので「あれ、あそこにいるの、その一じゃん。何やってんの?」
「桧山君の餌になってるんだって……」その三が涙ぐみながら答えると「マジかよ! ふざけんな!」するとアモニスが先崎の口を押え「静かにしろと言ってるのか聞こえないのか!」小声で再度注意する。
「……でも、あんな状況見せられたら……」
「いいから静かにしてろ! お前らじゃ何もできない」
「本当に何もできないんすか?」ベッドにその一と並んで座っている桧山を見ると「信じられねえ……」膝から崩れ落ちる。
「先崎君!」その二とその三が両脇から抱えて、後ろの椅子に座らせる。
「先崎君、大丈夫?」振り返るあやねが声を掛けると「なんでアイツに声を掛けるの?」と、表情を険しくするセイジツが少し声を荒げて聞くので「あやね。セイジツとの会話に集中しろ」アモニスが注意すると「あ、はい。ごめんね。先崎君が倒れたかと思っちゃったから。大丈夫みたい」
「……気になる?」
「セイジツ君だって、誰かが倒れたら、誰が倒れたんだろうって確認するでしょう?」
「……うん」
「私も気になったから、見ただけ」
「……わかった」
「おい。セイジツおかしいぞ」先崎がその二とその三を見る。
「セイジツ君も寄生されてて、意識を乗っ取られてるって」再度説明するその三。
「ちょっと待ってくれよ。映画やアニメじゃねえんだぞ。現実にそんなことが起こるわけねえだろう?」と頭を抱える。
「そうだよね。こんなこと、現実にありえないよね」その三が泣きだすので「心配するな。私たちが何とかする」アモニスが振り返らず声を掛ける。「だから、自棄を起こさず、私の指示に従え。わかったな!」
「……はい」
「あやねを、皆を助けてください!」その二が縋るように言うので「全力を尽くす」
「お願いします!」