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アーモのネイルサロンへようこそ  作者: 夏八木 瀬莉乃
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41-2 変貌した二人

 

「セイジツ君、座って」手前の椅子に座ると「……ああ」ノロノロと歩いてきて向かいの椅子に座り「もっと、こっちに来てよ」


「ごめんね。実は、夕飯にニンニクが入った料理を食べたから、ちょっと匂うの。セイジツ君に嫌われたくないから、このくらいの距離を取りたいの」


「俺の、ために?」

「そうだよ」

「……わかった」


 あやねがホッと息を吐くと「うまい言い訳だな。そのまま時間を稼いでくれ」後ろに立つアモニスが声を掛けてくる。


 一方、桧山は部屋の左側の壁前に置いてあるベッドに腰かけ、隣にその一を座らせて黙っている。


(桧山君はその一をどうしようと思ってるんだろう?)あやねは横目で見つつ、二人の状態を観察する。(今のところ、ただ並んで座っているだけみたいだけど、なんでだろう?)

 二人とも、人形のようにまったく動かない。


(そういえば、ミシュウさんとリエルさんの姿が見えない。いつ部屋から出たんだろう?)キョロキョロと部屋の中を見回していると「どう、したの?」セイジツが立ち上がる。


「あ、ああ、喉が渇いたなと思って。この部屋飲み物が置いてないんだね。セイジツ君も何か飲む? 買ってきてあげるよ」

「そう、だね。ストレートティ、がいいかな」

「わかった。この階に自販機あるかな?」


「エレベーター横にある」後ろからアモニスが声を掛けるので「じゃあ、ちょっと行ってくるね」

「戻って、来るよね?」

「もちろん。座って待ってて」

「……わかった」素直に座る。


 あやねが立ち上がると、アモニスがポケットから小銭を取りだし、手渡しながら「戻ってくるだろう?」

「セイジツ君と同じこと聞かないでください。戻って来ます」


「あやねが戻ってこなかったら、セイジツが病室から出てしまう。そうなったら」

「そうなったら?」

「病院にいる人間が、次々とセイジツの(えさ)になる」

「え、餌?」


「正確に言うと、セイジツの中で成長している厄病虫の幼虫の餌だ」

「成長してるんですか!」


「だから、必ず戻ってこい。アイツを留めておけるのはあやねしかいないからな」

「わかり、ました」

「心配するな。あやねは私が守る」

「アーモチーフ……」


「すまないな。我々の事件に巻き込んでしまって」

「いいえ。お手伝いできて嬉しいです」

「では、私はここで見張ってるから、早く飲み物を買ってこい」


「はい」あやねはセイジツを見ると「セイジツ君はアイスのストレートティでいいかな?」

「あ……うん」

「わかった。これから買いにいってくるね」


「戻って、来るよね?」と再度聞かれ「うん」と返事をしてアモニスを見ると「早くいってこい。ああ、廊下は静かに歩け。それと、誰にも会わないように気を付けろ。絶対見付かるな」


「はい。行ってきます」ドアをゆっくり開けると廊下の様子をみて、誰もいないことを確認すると、音を立てないようにゆっくりとドアを閉める。


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