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アーモのネイルサロンへようこそ  作者: 夏八木 瀬莉乃
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38-2 締めの夕食会

 

 先を行くリエルのあとを付いていくが、気になって後ろを振り返ると、すでにミシュエルたちの姿はなく、街の雑踏が見えるだけだった。


「リエルさん」上着の袖を引っ張ると「ミシュウさんたちはどこへ行ったんですか?」

「それは、あとで合流したときに、アモニスチーフが話してくれるよ」


「でも、リッ君はなんでミシュウたちが引き返したか、理由を知ってるんでしょう?」リエルを挟んだ反対側にいる千奈津がストレートに聞くと「まあね」こちらもストレートに返事をするが「でも、僕からは言えないことだから」とけん制する。


「じゃあ、質問を変えます」彼らとの会話のコツを覚えてきたあやねが続ける。「なにがキッカケだったんですか?」

「キッカケ?」


「急に引き返すことになったキッカケです」

「それは私も聞きたかった」千奈津が同意すると「それも、あとでアモニスチーフに聞いて」

「……わかりました」話してくれないことを感じ、定食屋へ向けて歩く。


 ものの数分も歩くと、色()せた紺色の暖簾(のれん)が掛かった定食屋が見えてきて、おいしそうな匂いが漂ってくる。


「わあ、いい匂い! 空腹を吸いよせる匂いだよ」千奈津が吸い寄せられるように店に入っていく。


「私もお腹が空きました」あとから入ると、お店のおばちゃんがあやねに気付き「あら、お嬢ちゃん、いらっしゃい!」と言って不思議そうな顔をすると「いつも一緒の美人のお姉さんは一緒じゃないのかい?」


「ああ、あとから来ます」

「そうかい。席はいつもの奥のカウンターかい?」


「はい!」コの字型のカウンター席の奥へ行くと、端からあやね、リエル、千奈津の順で座っていく。

 そして、奥の厨房には、エプロンにマスクをした里緒奈が大鍋を振っている姿が見える。


「今日はイケメンの彼氏と一緒……じゃないのかい?」さすがに両隣に女性が座っているのに付き、途中から言葉を濁す。


「彼は、一緒に来てる美人のお姉さんの仕事仲間なんです。今日、皆で食事することになってて、私たちが先に来たんです」


「そうなのか。ごめんなさいね。早とちりしちゃった」


「構いませんよ」リエルがにこやかに返事をするので「取り合いにならないようにね」あやねに小声で言って水を置いていくと「注文が決まったら声を掛けてくださいね」三人に声を掛けて、他のお客さんのところへ行く。


「注文は決まってるから」

「やっぱり、修行の成果を味わいたいだろう?」

「もちろんです!」

「私は初挑戦だよ」食べる気満々の千奈津。


「そういえば千奈津さん。ネイルのほうは、お客さんは大丈夫なんですか?」

「もちろん。ちゃんと調整して、今夜は空けてあるよ」

「今日のこと、知ってたんですか?」


「リッ君から、サポートの子のバイトが今日で終わりだからって、聞いてたんだ」

「……そうなんですか」


「さ、食べるものをそろそろ注文しよう」リエルが話題を変える。「すみません、オーダーお願いします」

「はいよ。今行くからね」


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