36-1 そして、最終日の十五日目
週明けの月曜日。
そして、あやねがミシュエルと交わした契約期間最終日。
放課後、剣道の練習が一段落した休憩時間に、いつもの四人が汗を拭きながら水分補給をしていた。
「その一。桧山君はまだ目が覚めないの?」あやねが話を振ると「エエエエエエッ! な、なんで私に聞くの?」
「その一。反応がおかしいぞ」その二が詰め寄る。「桧山と何かあるのか?」
「アツアツらしいよ」
「エエッ! その一、桧山君と付き合ってるの!」大声を出すその三。
「なんであやねが知ってるんだよ!」
「なぜか知ってる」
「その一! どういうことか説明しろ!」詰め寄るその二。
「いつからそんな事になったの!」晴天の霹靂のその三。
「いや、ちょっと、それは、ね」
「ね、じゃない!」
「吐け!」
「あやね! 助けてよ!」
「その二。切っていいよ」
「マジか!」
「友達を切るのか!」
「当然」
「一人、抜け駆けしたじゃん」
「私だけじゃないぞ。あやねだって……」
「あやねも?」疑いの目を向けるその三。
「やはり、フセイジツといい仲になってたのか?」嘆かわしいと首を振るその二。
「フはいらないって」
「やっぱり、あやねも彼ができたの!」なぜか嬉しいその一。
「あ、いや、ちょっと違うかも」
「エッ? 違うの?」意外な返答に「だって、ボロボロになったセイジツ君が、ヨロヨロのあやねを連れて帰ってきたんだよ」
「その一、知ってるの?」驚くあやね。
「セイジツ君のあとにリエルさんが気を失った桧山君を背負って、一緒に病室へ帰ってきたから」
「みんな病室に残ってたんだ」
「あのインテリ系イケメンが「私たちが戻ってくるまで、絶対病室から出るな」と言って美人の彼女と一緒に出ていったから」
「あの時はビックリしたよね」その三がその二とその一を見る。「突然、部屋が真っ暗になったかと思ったら、桧山君がケガ人と思えないくらい、ものすごい勢いで病室から出ていって、気付いたセイジツ君が「待て!」と言ってあとから出ていくと電気が点いて、一瞬だったね」
「そういえば、あの美人とインテリ系イケメンはあやねの知り合いだと言ってたけど、本当なのか?」詰め寄るその二。「どこでどうやって知り合ったんだ?」
「だから、ネイルサロンの人だって」
(人じゃないけど)
「ネイルサロンの店員なのか?」
「……そういえば、あそこで何をしてるんだろう? でも、いつもサロンにいるよ」
「で、インテリ系イケメンは?」
「彼はミシュウさん、美人のお姉さんの知り合い」
「ふうん。まあ、納得はできるかな」
「あやね、リエルさんも知り合いなんでしょう?」その三が興味津々で聞いてくる。
「リエルさんもミシュウさんの知り合いだよ」
「美人はイケメンを侍らせてんだな」
「その二。言い方に品がないよ」
「それはすまぬ」
「生まれた時代を間違えてるって」