35-2 十四日目の問題解決済 詳細
「まったく、人間が異空間に入ることは禁止されてるのに、わざわざ連れていく奴がいれは、わざわざ行かせる奴もいて、挙句の果て、異空間内で、桧山は逃げまわる犯人にエネルギーを使われてぶっ倒れるし、セイジツは厄病虫の毒にやられて、恋愛エネルギー含めた感情エネルギーまで吸い取られるし。
今回はどれだけ報告書や始末書を書かなければならなかったか、わかるか!」
目の前に座っているミシュエルを真っ直ぐ睨むと「先崎が連れてったから、行く先が異空間だとわからなかった」と言い返すので「それで、他に言うことはあるか?」
「……ない」
「だから戻ってくるのが遅かったんだ」納得する千奈津が、お替わりのお菓子を持ってくると「アモニスチーフと、イヤというほど提出書類を作りましたよ」受け取るリエルは食べはじめ「最後のほうはお腹が空きすぎて、指に力が入らなくて大変でしたよ」
「チィ、私にも何かくれないか?」アモニスが声を掛けてくるので「マカロンがまだ残ってるけど」
「それでいい」
「わかった」キッチンへ行くと、箱ごと持ってきてアモニスに渡す。
「それで、桧山君は大丈夫なんですか?」心配になってくるあやね。
「そうだな。体力を使い果たしてたから、どんなことが起きても、しばらくは起きないだろう」
「寝続けるってことですか?」
「そうだ。動けるエネルギーが溜まるまで、しばらく掛かるだろう」
「そうですか……」
「心配するな。今はあやねの友達その一が付きっきりで見てる」ミシュエルから意外なことを聞き「その一が?」
「なんだ、知らなかったのか? あやねたちが見舞いに行った翌日から、その一が桧山のところへ行ってたんだぞ」
「本当ですか! 全然わからなかった」
「まあ、途中から、またしても邪魔に入った奴がいて、桧山がガッカリしてたからな」
「その事は解決しただろう。蒸し返すな」文句を言うアモニス。
「エッ? アーモチーフが?」
「リエルといいアモニスといい、どうして私の業務の邪魔をするんだ。そんなに自分がいい男だと見せつけたいのか?」
「そんなことするわけないじゃないですか。純粋に先輩のサポートに入っただけですよ」おいしそうに千奈津が持ってきたお菓子を食べているリエル。
「私がモテるからといって、やきもちを焼くのはやめろ」
「このナルシストぶりがすごく腹が立つ。誰がお前に焼きもちなんか焼くか!」
「なんだ、違うのか?」
「どうしたら、マカロンの箱を抱えて食べてる奴に惚れるんだ」
「かわいいじゃないですか」とあやねに言われ「……かわいいと言われたのは初めてだ」どう捉えていいのかわからず、複雑な顔をするアモニス。
「あやね、気を遣うことないぞ」
「遣ってません」