34-2 十四日目の問題解決済
「アーモ君、リッ君、お帰り」
「チィちゃん、何か冷たい飲み物ある?」リエルが汗を拭くので「冷たい紅茶なら作ってあるけど」
「ああ、それでいいよ。氷入りでもらえるかな?」
「わかった。今入れるから待ってて。アーモ君は?」
「私も同じものでいい」
「了解」
千奈津がキッチンへ向かうと、リエルはネイルテーブルの椅子に座り、人型のアモニスはあやねの左隣のソファに座る。
「それで、今回の騒動は終わったのか?」ミシュエルがアモニスに聞くと「誰に向かって聞いてるんだ?」不満そうに言い返す。
「念のための確認だ」
「必要ない」
「そうか」
「あの、リエルさん。二人はいつもこんな感じなんですか?」右隣りの椅子に座っているリエルに小声で聞くと「まあね。学生のときからライバルで、何かと張り合ってたらしいから、それがずっと続いてるみたいだよ」
「続いてるんじゃない。ミシュエルが、私が先に昇進したことを根に持ってるからだ」
「悪いか」
「悪い」
「すごい似た者同士だと思うんですけど」
「誰が見てもそう思うよ」
「ですよね?」
「違う!」即答するミシュエル。
「私たちが似てると言われることが不愉快だ」眉間にしわを寄せるアモニス。
「あの……油をさすようなことかもしれませんが、言い方がソックリです」
「こいつとか!」アモニスを指さすので「さらに減点されたいのか」
「……」
「ミシュウ、相手が悪いよ」千奈津がアモニスたちのアイスティーを持ってくる。「リッ君は氷入りで、アーモ君は氷なしだよね?」
「よく覚えてるな」アモニスはグラスを受け取ると早速飲みはじめる。
「氷が嫌いなんですか?」あやねが聞くと「味が薄まるのがイヤなんだって」説明する千奈津が、テーブルにカラフルなマカロンが乗ったお皿を置く。「昨日のお客さんからのもらいものだけど」
「ああ、おいしそうだね」一つ取るリエル。
「いただきます」あやねも一つ取る。
「チィ、私の紅茶は?」ミシュエルがふてくされたように言うので「私はウエイトレスじゃないよ」と言いつつキッチンへ行くので「私のはホットだぞ」
「わかってますよ」
「そうだ。ミシュウさん、セイジツ君は大丈夫なんですか?」
「ああ、奴は今、桧山が入院してる病院に入院してる」
「入院してるんですか!」大声を出して口を塞ぎ「千奈津さん、すみません」頭を下げると「大丈夫なんですか?」と言うので、隣のアモニスが「ミシュエル。最後まで説明してないのか?」
「説明途中であんたらが帰ってきたから、話が途中で終わったんだ」
「なら、ちゃんと説明してやれ。かわいそうだろう」