31 十三日目の予想外 予想外の人物
「ミシュウさん、誰ですか?」隣のイケメンを見ると「わからなくていい」
「どうしてですか!」
「こいつの正体より、今回の問題のほうが重要だからだ」
「ミシュエル、減点するぞ」
「減点すると言えば言うこと聞くと思ってるのか?」
「いや」
「そうか」
「だから、違う意味で減点すると言ってるんだ」
「どう違うんだ?」
「わかってるのに聞くのか?」
「……いや」
「なら、少しはわきまえろ」
「……わかった」
(あのミシュウさんが勝てない存在がいるんだ!)二名のやり取りを聞いてビックリするあやね。(アッ、もしかして……)その存在に心当たりがあるので「あの……もしかして、アーモチーフ、ですか?」
「そうだ」
「やっぱり! って、人型だったんですね!」
「当たり前だろう」
その時、
「ほらそこ! 私がいいと言うまで動くなと言っただろう!」ベッド脇にかたまる先崎たちグループをけん制すると「人のこと言う前に、あんたら誰だよ。なに勝手に他人の病室に入ってきてんだよ」
「私たちはあやねの知り合いだ。そして、ある場所に監禁されていたそこの二人を、救出して連れてきてやったんだよ」
「監禁されてた? どこに?」セイジツがミシュエルに聞くと「知らなくていい」
「どうして!」
「知る必要のないことだからだ」
「エッ? 知る必要がない?」
「その一。どこにいたんだ?」その二が聞くと「それが、よくわからなくて。なんかフワフワした感じのところだった」
「相川、お前はどこにいたんだよ」先崎が聞くと「僕も同じようなところにいたよ」
「じゃあ、一緒にいたの?」あやねが確認すると「ううん、一人だった」と二人同時に答えるので「すごいシンクロだな」その三が呟く。
「ミシュウさん。さっき、この事件のほうが重要だって言ってたけど、真相がわかったんですか?」
「ああ。私の推測どおりだったよ」ドヤ顔でアモニスを見ると「こういう直感が働くから、落第点にならずに済むのが気に入らない」
「言ってくれるじゃないか」ムッとするミシュエル。
「いくらでも言うさ。そのお陰で、今回は犬になって監視することになったんだからな」言い返すアモニス。
「それは申し訳ない」
「減点決定」
「なに!」
「もっと減らしてほしいか?」
「……なんでこいつが私より先に昇進するんだよ」
「聞こえてるぞ」
「聞こえるように言った」
「さらに減点」
「……」
「ミシュウさん、今は黙ってたほうがいいと思います」あやねが助言すると「……チェ」
「もっと……」
「何でもない!」