28-3 十三日目の予想外
エレベーターに乗っている間「一体、何が起こってるの?」混乱してくるあやね。
「誰がラインを送ってきたんだよ」イライラしてくる友達その三。
「それよりも、昨日、どこで携帯を失くしたの?」冷静な友達その二が先崎に聞くと「それが、いつ失くしたかわからねえんだよ。家に帰って、グループラインに次のボランティアの予定を連絡しようとしたら、携帯がないことに気付いてさ。慌てたよ。他に連絡のしようがなかったからさ」
「最後に携帯を触った記憶はどこ?」
「そうだな……放課後、ラインが来たんだ。桧山から。調子が良くなったから、明日、学校が終わったらみんなで来いって。その返信をしたのが最後だ」
「ふうん、桧山君からラインが来たんだ」
「ああ。だから今日、グループのみんなで来たんだよ」
(そういえば、私も昨日、ミシュウさんから、セイジツ君と桧山君のお見舞いに行けと言われたんだけど、先崎君も呼ばれたって、偶然? 考え過ぎかな?)さっきからこの事が気になるあやね。(そういえば、セイジツ君はどこで何をしてるんだろう?)
いろいろと話しているうちに桧山の病室まできた。
コンコン、先崎がノックして「桧山、入るぞ」ドアを開けると「あれ、セイジツじゃねえか」
「おう、先崎。帰ったんじゃないのか?」
「いや、ちょっとアクシデントが起きてさ」
「アクシデント?」
「こんにちは」あやねが顔を出すと「華河さん!」セイジツが立ち上がる。
「セイジツ君、どうしてここにいるの?」
「どうしてって、桧山にラインで遊びに来いってもらったから」
「エッ。俺、そんなライン送ってねえぞ」包帯やらバンソウコウがかなり減って、スッキリした桧山が手を横に振って否定する。
「何言ってんだよ」ポケットから携帯を出して、もらったラインを見せると「これ、俺じゃねえぞ」
「エッ! マジで!」よく見てみると、表記文字が微妙に違っている。
「なりすましか?」
「俺にきたラインもこのアカウントからだったかな?」思い出そうとする先崎。
「携帯どうしたんだよ」セイジツが聞くと「昨日、失くしちまってさ。お袋のを借りてんだ」
「失くした? 誰かに鳴らしてもらえばいいじゃねえか。拾った奴が持ってるかもしれねえだろう?」
「何回もかけたけど、コール音が鳴るのに出ねえんだよ」
「アッ、それ、行方不明の友達と同じ状態!」
「行方不明? 誰が?」セイジツがあやねに聞く。
「友達その一」
「そういえば、一番背の高い彼女、どうしたの?」
「それが、彼女もラインで呼び出されたらしくて」
「桧山が集中治療室に入ったから、見舞いに来いとかきたんだよな?」先崎に言われ「だから、私たちも心配で来たら、先崎君と食堂でドーナツ食べてたって聞いて」
「誰だよライン送ってんの。なんの目的で桧山の病室に集まるように仕向けてんだ?」セイジツが気味悪そうに呟く。
そこへ、病院内を見回ってきたグループのメンバーが病室に入ってきた。
「例の彼女、どこにもいないぞ」
「ここに来てないんじゃないのか?」
「売店の人とかに聞いてみたけど、見てないってさ」
そう聞いて友達その二がまた電話を掛けるが、前と同様、コール音は鳴るのに出ない。
「どこで何してんだよ! 電話に出ろ! その一!」