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アーモのネイルサロンへようこそ  作者: 夏八木 瀬莉乃
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27-1 十二日目 まだ続きがあった

 

「とりあえず厄病虫はあと一匹。あやねに憑りついてるオスは相方を探しにくる。しかし、今の時点でここに来てないとしたら、まだあやねの部屋にいるんだろう」


 部屋の壁に掛かっている時計を見ると「連日、あやねを遅い時間まで引き留めておくわけにいかないから、あやねはこれを持って帰れ」昨日渡したト音記号のような形の黒曜石のペンダントをバッグから取りだす。


「昨日、捕まらなかったのに、大丈夫ですか?」受け取るが心配になるあやね。

「このペンダントが罠だと気付いてたら、セイジツに憑りついていた相棒が捕まることはない。昨夜会ってエネルギーをミックスしたとき、情報交換しただろうからな」


「虫なのに、そんな事できるんですか?」

「当たり前だろう。この世界の虫と一緒にする……な……」


「どうしたんですか?」ミシュエルが考え込むので不安になると「ああ、大丈夫だ。とにかく、家まで送る」立ち上がると「リエル。私が戻るまでここにいるだろう?」

「エッ? あ、ああ、ドーナツ食べますからね」


「まだ八時過ぎだから大丈夫です」リエルがいるので帰りたくないオーラを出すと「そうだ。チィ、あやねの分のドーナツを何かに入れてくれ」

「ミシュウさん。まだ大丈夫です」


「ああ、そうだね。何を持ってく?」千奈津がドーナツが入ったボックスを開けるので「そうですね……チョコが掛かったこれがいいです」


「じゃあ、小袋に入れるから待ってて」ボックスに入ってる小さい紙袋に入れて渡すと「では行くぞ」ミシュエルが玄関に向かう。


「ミシュウさん、まだ大丈夫ですから」ソファに座ったまま動かないので「ではリエル、一緒に来い」

「エエッ!」驚く千奈津。

「わかりました!」立ち上がるあやね。


「どうしてリッ君まで行くの!」

「あやねを帰すためだ」

「……戻ってくるんだよね?」

「先輩が話があるらしいからね」

「わかった。戻ってきてね」


「手が掛かるな」ボソッと呟くミシュエルが、あやねを連れて部屋から出ていく。


 いつものように外に出ると右側の先にあるモノレール駅下の大通りでタクシーを拾い、あやねの家に向かう。

 後部座席であやねを真ん中に右側にリエル、左側にミシュエルが座る。


「ミシュウさん、本当に今夜、捕まえられるんですか?」

「捕まえるんだよ。いつまでも振り回されたくないからな」

「本当ですね。困った虫を逃がしたものです」


「その虫だが、逃げたのが三匹というのが最初から引っ掛かってる」

「先輩もですか? 僕もです」

「……それ、どういう意味ですか?」


「前に逃げた虫に付いて少し話しただろう? この虫はオスメス対になって行動するんだ」

「今回逃げたのは三匹だから、本当は、もう一匹いるんじゃないかってことですか?」

「そうだ」


「でも、捕獲所からは三匹って連絡がきたんですよね?」

「そうだ」


「じゃあ、三匹なんじゃないですか?」

「まあ、考えすぎであってほしいんだがな」

「確認する方法はないんですか?」


「アーモに捕獲所について調べてもらってるが、管轄外の場所だから時間が掛かるらしい」

「そうなんですか」


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