26-1 十二日目にクライマックス?
「ところでミシュウさん。どうやって私の部屋に居候してる例の厄病虫を駆除するんですか?」
「あやね、うまいな、その言い方。貰っていいか?」
「ミシュウ。話をずらさない」千奈津が注意すると「少しくらいいいじゃないか。貰うぞ、あやね」
「そうですね……私の部屋の厄病虫を駆除してくれたら、使っていいです」
「ほう。この私に条件を付けるか」
「はい」
「いい度胸だ。では」持っている白いバインダーを広げると「ミシュウ。職権乱用したら、減点じゃなくて警告をだすぞ」アーモが上司らしい口調で言うので「ここで脅しが出るのか?」
「今、脅しって言ったか?」
「……注意勧告だな」ミシュエルがやれやれという顔をすると「上司に監視されるとやりづらい」ボソッと呟き「あやねの部屋にいる最後の一匹だが、その内ここに来る」
「エエエエエッ!」ビックリするあやね。
「なんで!」意味が解らない千奈津。
「どうして!」聞いていなかったアーモ。
「うるさい!」
「うるさいですよ! なんでですか!」
「ミシュウ! 説明してよ! なんで私の家に来るの!」
「ミシュウ。やり返すにしては度が過ぎてるぞ」
「三つ巴のシンクロだな」
「ミシュウが突拍子もないことを言うからでしょう!」怒る千奈津が「そんな厄病虫がなんでここに来るの!」
千奈津は虫関係が大の苦手なので、さらに厄病虫と呼ばれる虫がくると聞いて、パニックを起こしはじめる。
「まったく、考えても見ろ。あやねの部屋にいる厄病虫の相棒がここにいるじゃないか」
「エッ?」ミシュエルが持つ、正方形に変化した黒曜石のペンダントを見る。
「たぶん、厄病虫たちは夜に会ってエネルギーの交換をしてるはずだ。
エネルギーをミックスさせて練り上げ、食べやすいようにしてるらしいからな。
そうなると、今夜はいくら待っても相方が姿を現さない。
何をしてるんだ? 様子を見に行くと、憑りついてる奴のところにいない。
これはおかしい。どこに行ったのか。
そういえば、自分が憑りついてる女と会うことになっていた。
では、そいつは今どこにいる? あやねに付けた糸を手繰ってここに来る。
以上、説明終わり」
「なんでもっと早く言ってくれないんですか! もう来てるかもしれないじゃないですか!」飛び上がるあやね。
「なに! どこから来るの! 憑りつかれちゃう!」慌てて部屋の中を見回す千奈津。
「ミシュウ。捕獲の説明がないぞ」冷静なアーモチーフ。
そこへ、ピンポーン、玄関の呼び鈴が鳴った。