25-1 十二日目の成果
「ウワッ!」セイジツが声を上げてその場にしゃがみ込むので「大丈夫!」あやねが慌てて隣にしゃがむと「あやね、下がってろ」
「エッ?」顔を上げると、目の前にアーモを抱いたミシュエルが立っていて、リエルがセイジツの隣にしゃがむと様子を見はじめる。
「リエルさん!」
「ほら、離れてろ!」あやねの腕を掴んで立たせると、花壇の反対側へ連れていく。
「ミシュウさん。どうしてここにいるんですか?」
「それは、お前のペンダントを受け取りにきたからだ」
「エッ、ペンダント? そういえば、急にすごく眩しく……アアッ!」首から下げているト音記号のような形をした黒曜石が、正方形になっている。
「どうして!」
「私の読みは当たってたな」
「まったく、こういう事に関しては、本当に勘が働くな」抱っこされているアーモがため息を吐きながら呟く。
「アーモチーフ。こんな所でしゃべったらダメだよ」あやねが注意すると「大丈夫だ。こんなうるさい所じゃ、誰も気付かない」
「まあ、確かにそうだけど……」場所が駅ビルなだけに、周りは縦横無尽に歩く人でごった返している。
「でも、どんなことに勘が働くんですか?」アーモが言った言葉が気になって聞くと「天界から逃げだした例の生き物が三匹いると話しただろう?」
「はい」
「一匹は別の場所で捕獲できて、残りは二匹」
「はい」
「一匹はあやねの部屋に住んでる」
「その言い方はやめてください」
「事実だろう?」
「まあ、そうですけど……」
「残りの一匹が、セイジツに憑いてたんだ」とミシュエルが言うので「エエエエエッ!」
「うるさい」
「うるさいですよ! どうしてセイジツ君に憑いてるんですか!」
「あの生物の情報が来たとき、逃げだした生き物はオスが二匹とメスが一匹とあったんだ。この生き物は憑りつく相手に特徴があって、メスは男に、オスは女に憑りつく習性がある」
「なぜですか?」
「オスは女性が出す片思いのエネルギーが主食で、メスは逆なんだ」
「片思いのエネルギーが主食なんですか?」
「そうだ。だから外界に出すと他の生物が死滅してしまう可能性があるため、天界の捕獲所で隔離されていたんだ」
「そうなんですか」
「しかも、この生き物はオスメス対で動くから、あやねに憑いたのであれば、メスは近くの男に憑りついてる可能性が高い。そこで可能性のある奴を調べたところ、セイジツが怪しいと目を付けたわけだ」
「だから今日、会いにいけと言ったんですか?」
「あやねに憑いてるヤツがペンダントに封印されてなければ、先にセイジツに憑いてるほうを捕獲することにしたんだが、成功したな」
「じゃあ、ペンダントが正方形になったのは」
「そうだ。中にセイジツに憑りついていた生き物が入ってる」