表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アーモのネイルサロンへようこそ  作者: 夏八木 瀬莉乃
48/109

24-1 十二日目の変化

 

 翌朝、珍しく夢を見ずに熟睡していたらしく、スッキリと起きることができた。


 実はミシュエルたちには言ってないが、一週間くらい前から、毎日夢の中にセイジツが出てくるようになっていた。


 抱っこしているアーモのことで楽しくおしゃべりしているが、必ず途中から里緒奈が出てきて、セイジツと二人仲良く歩いていく後ろ姿を見て、悲しい思いをするところで目を覚ます。

 毎日同じ内容で、同じところで目を覚ましていた。


 しかし、今日は夢を見なかったので、不思議と疲れていない。

「あの夢も、例の脱走した生き物がコントロールしてたのかな?」

 昨日、ネイルサロンで聞いた話の内容から考えると、十分にあり得ると思う。


「このペンダントがあるから、夢を見なかったのかも」

 ミシュエルから貰ったト音記号のような形の黒曜石を見ると、昨日と同じ形なので「変わってない。ということは、セイジツ君に会いにいっていいんだ」


 いつもなら会えると思うと顔がにやけるのだが、なぜか今日は、ネイルサロンへ行かないのだと思うと、寂しくなってくる。


「セイジツ君に会いにいけるのに、なぜか楽しくない」

 理由はわかっている。

「リエルさんに会えないから……」


「リエルを慕うのは止めないが、お前の相手は人間だ。その点を間違えるな」

 ミシュエルに注意されたことで、あやねの気持ちがハッキリすることになってしまった。

「リエルさんに会いたい」


「契約を破棄すると、お前の幸福が一つ消えるぞ」

 またしてもミシュエルに言われたことを思いだし「そうだ。契約どおりにしないと、幸福が一つ消えちゃうんだ!」


 その時、午前六時半にセットしたアラームがピピピピピッと鳴るので、止めると「どうしよう」悩みながらもベッドから出て、学校へ行く準備を始める。



 放課後、剣道の練習が一区切りついて休憩しているとき、例の三人の友人とリエルの話になった。

「あーあ、またあのイケメンと会えないかな?」

「いい男だったね」

「よき目の保養になったぞ」

「あんたは殿様か?」


(そうだ。みんなもリエルさんと会ってるんだ)


「あやねも一緒にいたらよかったのに」

「英語の勉強、頑張ろうって本気で思ったよ」

「メリケン国」

「それはアメリカのことだよ。古いって。どこの国から来たか聞いたの?」


「エディンバラって言ってたよ」

「じゃあ、イギリスの北部だね」

(なんでイギリスなんだろう?)

「お貴族様かも! 公爵? 伯爵? 男爵?」

「目の色変えない」


 そして練習が終わると、あやねは友人たちと別れて、セイジツに会いに座山駅の南北連絡通路へ向かった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ