23-1 問題の対応
「一人でいるときに思い出したり、妄想したりするだろう?」とアーモに言われ「……はい」真っ赤になって俯く。
「そのエネルギーを食べて大きくなってるんだよ」
「先輩、あれは大きくなるとどうなるんでしたっけ?」リエルがミシュエルに確認すると「吸い取るエネルギーが比例して大きくなるから、人間は恋をしなくなる。結婚しなくなる。子供がいなくなる。人類が滅びる。という流れだな」
「そうですか。困った生き物を逃がしましたね。ところで、逃げたのは一匹だけなんでしょうか?」
「三匹いるらしい」
「本当ですか!」
「一匹は捕獲したとさっき連絡が来たので、ここのを捕獲できれば、残り一匹だ」
「……探すのが大変ですね」
「まあな。現象が起きるのを待つしかないだろう」
「チーフ、見付ける手立てはないんですか?」
「今、逃がした捕獲所の研究員に聞き取りしてるよ。情報がまとまったら、全サポート要員に連絡が行くだろうね」
「そうですか。注意しておきます」
「話はそのくらいにして、そろそろあやねちゃんを帰さないと、九時回ってるよ」千奈津が話に入ってくるので「そうだな。また送っていこう」立ち上がるミシュエル。
「僕も帰るから、僕が送っていきましょうか?」
「ありがとうございます!」あやねは喜ぶが「ダメだ!」即答でダメ出しするミシュエル。「女子高校生を男がタクシーで送ったところを近所の誰かに見られでもしてみろ。どんな噂が立つか想像できるだろう」
「確かにそうですね。迂闊なことを言いました。ごめんね、あやねちゃん」
「そんな。気にしなくても大丈夫です」
「あやね。私の話もまだあるんだ」
「あ……わかりました」せっかくのチャンスを潰されてガッカリする。
一方「じゃあ、あやねちゃん、気をつけて帰ってね。リッ君は、お茶のお替わり飲む?」笑顔の千奈津。
「そうだね。じゃあ、もう一杯もらおうかな」座り直すと「待っててね。入れてくる」キッチンへ向かう。
「リエル。あまり長居をせずに帰れよ」
「そうですね。チーフと少し話があるので、終われば帰ります」
「そうか」
「あとで、打ち合わせ内容をチーフから聞いてください」
「わかった」
バッグを持つミシュエルがあやねを連れて部屋から出ると、いつものようにモノレール駅がある大通りからタクシーを拾い、あやねの家に着くと、いつものようにタクシーを待たせて玄関前で話をする。