22-2 ネイルサロンの秘密
「そういえば……コンビニで待ち合わせて行ったんだ」
「意識を失ったあやねをなんとか誘導してここまで連れてこられたから、事なきを得られた」
「アーモ君、ありがとう」
「ワン」
「そのアーモと会うキッカケとなった奴を覚えてるだろう?」
「北条高校の、えっと、確か……先崎君、だったかな?」
「そうだ。彼のサポートに付いてる奴も私と同じチームに所属してる後輩で、アーモがあやねと一緒に行動するよう仕向けてきたんだ」
「あれはワザとだったんですか?」
「そうらしい」
「そんな前から始まってたんですか?」
「もっと前からだ。リエルのところに現れたのはいつだった?」
「僕が確認したのは半月前です」
「あやねに会う一週間くらい前というところか」
「そのくらいですね」
「先崎君にもサポートが付いてたなんて」
「奴は、学校での虐めや孤独者をなくそうという目標を立ててる。そのサポートに付いてるんだ」
「そうなんですか。頑張ってるから、たくさんサポートしてあげてほしい。でも、どうして先崎君のサポートに付いてる人は、その生き物の存在を知ったんですか?」
「この前の日曜、先崎に頼まれて、剣道仲間三人と一緒に見舞いに行っただろう」
「どうして知ってるんですか!」
「当たり前だろう。私がプログラムを組んでるんだぞ」
「……そうでした。それで、お見舞いに行ったことが何かあるんですか?」
「見舞いにいった奴の名前を憶えてるか?」
「えっと、確か……桧山君、でした」
「では、リエルがサポートに付いてる里緒奈の名字は?」
「彼女の名字ですか? 確か……あ、桧山だ。じゃあ!」
「そうだ。先崎の親友で、北条高校、男子剣道部主将の桧山は、里緒奈の兄だ」
「そんな繋がりがあったんだ」
「里緒奈のお兄さんのケガは、例の生き物の仕業じゃないかと僕たちは見てるんだ」
「そんなことができるんですか?」
「里緒奈が海外へ行けば、あやねちゃんの恋敵がいなくなるから、片思いのエネルギーを出さなくなってしまうだろう? それを阻止するためだと予測してる」
「……」開いた口が塞がらない。
「そこで、私が組んだプログラムでは一昨日の月曜にセイジツと会う設定だったので、里緒奈が一緒にいたらあやねのエネルギーを食べに出てくるだろうと踏んで、証拠をつかむために、アーモに同行してもらったんだ」
「ところが、君の剣道仲間三人があとを付けてきていたので、彼女たちに移動するのを防ぐために、僕がほかへ連れていったんだよ」
「そうだったんですか」納得して頷く。
「しかし、セイジツが来る前にあやねが意識を失ってしまったので、アーモがまたここへ連れてきたんだ」
「あの時は、彼の陸上部仲間の話を聞いた後、意識がなくなったようです」
「セイジツの話が出たんだろう?」
「……はい」
「そして今日、再チャレンジしたら、しっかり確認できたんだろう?」隣のクッションで寛ぐアーモを見ると「ワン」と吠える。
「今さら犬のマネをしても遅いですよ、チーフ」
「それもそうだね。確かに今日、あれがあやねの中にいることを確認したよ」
「それで、今、どこら辺にいそうですか?」
「今はあやねの部屋にいるよ」
「私の部屋ですか!」