表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アーモのネイルサロンへようこそ  作者: 夏八木 瀬莉乃
30/109

15-1 羽根の形のドアノブ

 

「特殊ネイルの契約をした人にだけ、羽根の形のドアノブが見えるんですか?」

「見えるんじゃなくて、現れるんだよ」


「現れる? じゃあ、普通のネイルをしてる人には現れないんですか?」

「そういうこと」


「どうしてですか?」

「特殊ネイルが特殊だから」

「……じゃあ、どう特殊なんですか?」


「あやねちゃんは、どうして特殊ネイルをしようと思ったの?」

「それは……願い事が、一つ、叶うって言われたから……」

「それで、その後どうした?」


「その後、契約書に願い事を書いて、サインしました」

「そう。その契約は誰とした?」


「誰とした?」


「その契約を承諾したのは誰?」

「ミシュエルさん……です」


「そう。ミシュウと契約すると、表のドアノブが羽根の形なるんだよ」

「ミシュウさんと契約すると?」あやねは考えると「あの、ミシュウさんて……」

「内緒」


「エエッ! まだ全部話してませんよ!」

「聞きたいことはわかるよ。ミシュウは何者かってことでしょう?」

「はい」

「だから、内緒」


「どうしてですか?」

「じゃあ、あやねちゃんは、ミシュウは何者だと思う?」

「それは……」

「正直に言っていいよ」


「はい……最初は外国の人だと思ってました。けど、なんか、雰囲気というか存在感というか、こう言ったら怒られちゃうかもしれないけど、人間ぽくないと思うようになって……」


「まあ、方向性は大体あってるかな」

「エエッ! 本当ですか!」


「シッ! 声が大きいよ。あやねちゃん家みたいに一軒家じゃないから、あまり大声出さないようにね」

「あ、すみません」口を押えて謝る。


「実はこの前、管理会社から注意されちゃったんだ。ミシュウの服装を注意したとき、大声出しちゃったから」


「そうなんですか……でも、ミシュウさんのこと、大体あってるって、どういう意味ですか?」


「そうだね……これは、あやねちゃんの契約が完了した後に話すよ。今はまだ、契約実行中だからね」

「あ……はい。わかりました」

「じゃあ、メンテナンスが終わったから、こっちに来て」


「はい」カップを置いてネイル用の椅子に座ると「普通、チップって取れやすいじゃないですか。でも、このチップは全然取れないんですけど、なんでですか?」


「それはね。接着剤も特殊だからだよ」


「特殊ネイル用だから取れないんですか?」

「そう。じゃないと、付けてる意味がないでしょう?」

「そうですよね」


 一本ずつチップを付けていくと「今、契約日数の半分まできたから、後半戦、頑張ってね」

「はい……」


「どうしたの? 元気ないよ」

「こう言ったらいけないんだと思うんですけど、本当にうまくいくのかわからなくなってきちゃって……」


「例の彼が、美人の同級生と一緒に帰ってたから?」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ