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アーモのネイルサロンへようこそ  作者: 夏八木 瀬莉乃
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13-3 五日目のお出掛け

 

「なんで「とんかつカレー定食」にしたんだ?」ミシュエルが聞いてくるので「だって、あの子がお父さんに食べさせてあげるためには、練習が必要でしょう?」


「そうだ。だからおばちゃんは週に一回、日替わりを「とんかつカレー定食」にするんだ」

「そうなんだ。おばちゃん、やさしい」


 あやねが厨房の奥を見ると、帽子にマスク、エプロンをした淳ちゃんが料理長のおじさんの監視の下、あやねとミシュエルが注文した「とんかつカレー定食」を作っていた。


「うまく作れそうか?」

「大丈夫だよ。だって、あんなに一生懸命作ってるんだもん。絶対おいしい!」

「そうだな」


 引き続いて見ていると、付け合わせの野菜炒めができ、とんかつを揚げると大皿にご飯を盛り、特製スパイシーカレーを掛けて食べやすいように切ったとんかつを乗せ、赤だしの味噌汁を入れると「「とんかつカレー定食」二人前あがり!」淳ちゃんが大声を出す。


 その声を聞いておばちゃんが取りにいき、運んでくるとあやねたちの前にトレーを置いて「ハイ、お待たせ」

 スパイシーカレーの香りと、揚げたてのとんかつから湯気が立っている。


「すっごいおいしそう! いただきます!」あやねは箸を持ち、パリッとした衣のとんかつにカレーをたっぷり付け、口に運ぶと「……おいしい! なにこれ! とんかつの衣に何か入ってる?」


「アタリ!」おばちゃんは嬉しそうに「入ってるものは秘密なんだけど、おいしいだろう?」


「はい! なんか香ばしいっていうか、クセになりそうです!」

「そうかい。ゆっくり味わって食べな」


 その後、あやねは一口ずつ噛みしめて食べていく。


 衣にからまるスパイシーカレーが中辛で家で食べるものよりコクがあり、とんかつの肉が噛みしめるごとにうまみが出て、ご飯の甘味がカレーに負けていない。


 最後の味噌汁に使われている味噌はおばちゃんの実家で作っている赤だしで、食後の冷たいお茶を飲むと「私も、「とんかつカレー定食」のファンになりました!」


 満足感でいっぱいのあやねを見て、おばちゃんは嬉しそうに「いつでも食べにおいで」


「はい! 今度は部活の友達も連れてきます。みんな、絶対ファンになります!」

「そうかい。待ってるよ!」


 その後、会計を済ませて店から出ると、また、向かいの自販機でお茶と炭酸飲料水を買い、飲みはじめる。


「淳ちゃんすごい。あんなにおいしい料理が作れるなんて。きっとお父さん、ゲキ喜ぶと思う」

「すごく喜ぶと思うだ」

「あ、はい」


「目標を持つことが力になることを、あやねも知ってるだろう?」

「はい」


「父親においしい料理を作って喜ぶ顔が見たいという目標が、料理上手にするんだ」

「そうですね」


「さて、今日の目的のもう一つがきたぞ。定食屋の出入り口を見てみろ」

「はい」


 時刻はもうすぐ午後九時になる。


(何かあるのかな?)


 炭酸飲料済を飲みながら店の出入り口を見ていると、突然「建物の陰に隠れろ」ミシュエルが自販機横の駐車場に押し込むので「なんでですか? アッ!」


 定食屋のドアを、例の彼が開けて中に入っていく。


「……」言葉が出ないあやね。

「よく見てろ」


 しばらくすると、例の淳ちゃんという彼女と一緒に彼が出てきて、一緒に帰っていく。



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