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アーモのネイルサロンへようこそ  作者: 夏八木 瀬莉乃
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13-2 五日目のお出掛け

 

「今の内にソファに座らせて、紅茶を進めたらどうだろう?」アーモが千奈津を見ると「ああ、それいいかも」ゆっくりあやねを立たせると横長のソファに座らせ、テーブルの上のカップを持つと「あやねちゃん、紅茶ここにおくね」と声を掛けるが、微動だにしない。


「参ったな。しかたない。ミシュウに対処してもらうか」ばつが悪そうな顔をするアーモ。


 そこへ、またしても渋い顔をしたミシュエルが、長袖の白シャツに黒のデニム姿で隣の部屋から出てくると「どうした?」緊張した雰囲気が漂っているので不審に思う。


「ミシュウ、悪いな。私がしゃべったら、あやねが固まってしまったんだ」


「なんだって」横長のソファに座っているあやねを見ると、目を見開いたまま、マネキン人形のようになって座っているので「まったく。私にうるさく注意するわりに、自分も注意が必要じゃないか」ミシュエルはあやねの隣に座ると「今日はセイジツに会えるぞ」


「本当ですか!」

「アッ、動いた」驚くアーモと千奈津。「さすが!」


「もっと()めていいぞ」

「だから無理。あ、あやねちゃん、紅茶」千奈津が持っているカップを渡すと「あ、ありがとう、ございます」


「とにかく、それ飲んだら行くぞ」


「あ、はい!」熱い紅茶を冷ましながら(私、いつソファに座ったんだろう?)悩みつつ、クッションの上にいるアーモを見て「聞き間違いだよね」


 アーモがミシュエルを見ると、指を口の前で立てるので「ワン」と鳴く。


(そうだよね。きっと、千奈津さんが言ったのをアーモ君が言ったと思っちゃったんだ)


 納得する理由を見付けたらしく、フーフーしながら紅茶を飲み干す。


「飲み終わったか? 行くぞ」ミシュエルがバックを持って玄関に向かうので、あやねもバッグを背負ってあとを追う。



 二人はマンションから出ると、一昨日と同じ経路を通って例の定食屋へ向かった。


 当然、定食屋へ向かう途中の道には、今日も客引きやスカウト専門の怪しい兄ちゃんたちがウロウロしていて、()りずにミシュエルに声を掛けては「邪魔だ!」「退け!」と一言で撃沈していく。


(かっこいい……どうしたらミシュエルさんみたいになれるんだろう?)

 憧れのまなざしで見つつ後から付いていくと、目的地の定食屋へ入っていく。


「まあ、いらっしゃい!」おばちゃんが、あやねの顔を見ると大声を出して駆け寄ってきて「よく来たね。また奥に座るかい?」と聞かれ、ミシュエルを見ると「同じ席にしよう」と言うので、この前と同じ奥のカウンターに座る。


「今日は何にする?」メニューを広げつつ「ああ、今日の日替わり定食は「とんかつカレー定食」だよ」と言うので「本当ですか! それにします!」


「そう言うと思ったよ。お客さんはどうしますか?」隣のミシュエルに聞くので「同じので」


「ハイよ。「とんかつカレー定食」二つね」おばちゃんは伝票に書き込むと、奥の厨房へ行って注文を通す。


「淳ちゃん! 「とんかつカレー定食」二つね!」

「ハーイ!」元気な声が返ってくる。



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