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アーモのネイルサロンへようこそ  作者: 夏八木 瀬莉乃
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13-1 五日目のお出掛け

 

 そして、翌日の午後六時に部活が終了すると、そのままネイルサロンへ直行する。


「いらっしゃい。そろそろ来るころだと思ってた。入って」


 いつものように玄関のドアを開けて千奈津が迎え入れてくれるので「お邪魔します」


 玄関に入ると(そういえば、ドアノブのことを聞いてなかった)と思いつつ、一人掛け用のソファ横にあるクッションでアーモが(くつろ)いでいるのを見て「アーモ君! 今日もかわいいね!」傍へ行って頭を撫でると「ワン!」嬉しそうに尻尾を振る。


「そういえば、部活の友達に、またなにか言われなかった?」千奈津が用意していた紅茶を持ってくると「大丈夫です。みんな何かあるとわかってくれてますから」


「あやね、今日もなにか食べてく?」部活が終わると「友人その一」の長身が聞いてくるので「ごめん! 今日は用事があるんだ」


「ええっ! また例の犬に会いにいくのか?」小柄な「友人その二」が理由を聞くと「まあ、それもあるけど、ちょっとね」


「仕方ないな。話してくれるまで聞かない約束だからね」アイドル好きの「友人その三」が呆れたように言うので「ごめんね」」申し訳なさそうに謝ると「いいよ。終わったら話してくれるんでしょう?」


「……たぶん」

「話してくれるんだよね?」

「……話せるところは」


「フゥ、わかった」

「仕方ない」

「でも、無茶しないでよ。都大会があるんだから」


「うん、わかってる」




「ミシュウ! またそんな服で出掛けようとする! ダメだって言ってるでしょう!」

 隣の部屋から出てきたミシュエルの服を見て、千奈津がすかさずダメ出しをする。


「なぜダメなんだ。これくらい大丈夫だろう?」


「前回、赤のマイクロミニがダメだと言ったからって、なんで黒のスリット入りミニワンピがいいと思うの!」


「色味を(おさ)えたぞ」

「そうじゃない!」


(ハハハッ、またやってる……)あやねが二人のバトルを見て苦笑する。


(それにしても、ミシュウさんスタイルいいなあ。羨ましい)と思いながら、膝の上に乗せているアーモの頭を撫でつつ「いつもあんな感じなの?」と声を掛けると「まあな」呆れたように言い「ミシュウ、千奈津の言うとおりだ。今度ペナルティ食らったら降格だって、忘れてないだろう?」


(……エッ?)手を止めて、撫でていたアーモを見る。


「ほら、あやねが待ってるんだから、早く着替えてこい」


(エエエエエエエエエエエエエエッ!)あやねの顔が引きつる。


「アーちゃん! いきなりしゃべったら、あやねちゃんが固まるじゃんか!」千奈津に言われ「エッ?」あやねを見上げると、静止画のように、撫でていた右手を挙げた状態で動きが止まっているので「ヤバい、気付いてると思ってた……」


「それは無理だよ」

「そうだな。あやね、驚かせて悪かった」


 あやねは目を見開いたまま、動かない。


「正気を失ってるね」ため息を吐く千奈津。


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