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アーモのネイルサロンへようこそ  作者: 夏八木 瀬莉乃
22/109

11-4 目撃したのは


 二人は駅前のロータリーまで戻ってくるとタクシー乗り場へいき、あやねの家に向かった。


 それから二十分後にあやねの家の前に着き、タクシーから降りると「タクシー代、すみません」料金を支払っているミシュエルに頭を下げる。


「ああ、大した金額じゃないから気にするな」支払いを済ませてタクシーから降りると、玄関へ向かう。


 門扉から家まで石畳を歩き、鍵を開けて玄関に入ると「親を呼んでこい。きちんと送ってきたと証明する」


「そんなことしなくても」

「いいから呼んでこい」


「はい」


 靴を脱いで家に上がると居間へ行き、母親を連れてくる。


「初めまして。ミシュエルと言います。本日はあやねさんを遅くまで連れまわしてしまい、すみません」頭を下げるので「エッ、あ、ああ、まあ! わざわざすみません!」母親はミシュエルの姿を見ると驚き「あやね、どこで知り合ったの?」と小声で確認する。


「学校近くのネイルサロンの人だよ」

「ああ、この前話してた」


「言ったじゃん。今日は一緒に出掛けるって」

「あ、ああ、そうだったわね。日本語、大丈夫なの?」

「日本語で話してるよ」


「そ、そうね。わざわざありがとうございます」

「夕飯、ご馳走してもらったの」


「エエッ! あんた、まさかドガ食いしてないでしょうね」

「……した」

「ドカ食いしたの!」驚いて目を丸くする。


「お母さん、心配されなくても大丈夫ですよ。部活で成果を上げるために、必要分を摂取してるんですから」ミシュエルがフォローすると「そうですけど……女の子ですから……」


「その偏見はダメですよ。あやねさんが太ってると思いますか?」

「あ、いえ、そんな感じは」


「ですよね? 必要量を取っているので、剣道をやってる間は適量を食べさせてあげてください」

「はあ、そうですね……」


「今年の都大会優勝が彼女の肩に掛かってるんです。剣道部のほかの部員のためにも、健康管理はお願いします」

「あ、ああ、はい。気を付けます」


「では。ああ、明後日も一緒に出掛ける予定なので、また遅くなりますが、私が責任をもって今日のように送りますので、心配なさらないでください」


「あ、はい、わかりました。よろしくお願いします」流ちょうに話すミシュエルに、安心していいものなのか、迷う母親。


「じゃあ、タクシーを待たせてるから、これで失礼します」

「タクシーのところまで見送ります」あやねが靴を()こうとするので「来なくていい」


「でも!」

「では、明後日。言ったことは守れよ」


「あ、はい。ミシュウさん、ありがとうございました」

「じゃあな」


 石畳を戻り、門扉前で待っているタクシーに乗り込むと、細い路地を大通りに向かって走っていく。



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