11-3 目撃したのは
「それより、明日の行動について説明するから、きちんと守れ」
「はい」
「明日はこちらの行動はない。したがって、部活の練習に集中しろ。今年の都大会も優勝しないといけないからな。そして、終わっても、例の彼に会いに行くことは禁止だ」
「エエッ! どうしてですか!」
「どうしてもだ」
「じゃあ、遠くから見るとかなら」
「ダメだ!」
「そんな!」
「私の指示に逆らって奴に会いにいったら、契約違反として即中止。その場合、お前の幸福が一つ消える」
「エエッ!」
「会いたい気持ちはわかるが、一時の辛抱だ。我慢しろ」
「……」ウルウルウル。
「こんな事で泣くな」
「こんな事って……」
「契約内容を忘れたのか?」
「契約内容、ですか?」
「そうだ。お前が書いたんだぞ」
「……忘れて、ません」
「なら、私を信じろ」
「……はい!」
「よろしい。次、明後日のことだが、またあの定食屋へ行くから、部活が終わったら真っ直ぐネイルサロンへ来い」
「あの定食屋にまた行くんですか? どうして?」
「内緒だ」
「またですか!」
「何度も言わせるな。先に知る必要はないと言っただろう!」
「……はい」しかし、当然ながら不満一杯の顔をする。
「それと、わかってると思うが、あの子があの定食屋でバイトしてることは秘密だ。誰にも言うな」
「うちの高校はバイトしても大丈夫ですけど」
「そうじゃない。あの子個人の理由だ。いいな」
「あ……はい、わかりました」
「それから、明後日は今日より遅くなるから、両親に早めに話しておけ」
「あ、わかりました」
「さあ、それを飲んだら帰るぞ」
話に夢中だったが蓋を開けていたのかよかったのか、驚くたびにペットボトルの炭酸が飛び出てくるので、すぐに冷静になれたため、今度はゆっくりと炭酸飲料水を飲み干すと、自販機の隣のペットボトル入れに入れる炭酸飲料水を飲み干すと、自販機の隣のペットボトル入れに入れる。
ホッと一息つき「相変わらず勧誘が凄かったですね」
ミシュエルに対して、お店のママをやってほしいと声を掛けてくる命知らずのスカウトがいて、度肝を抜かれていた。
(ミシュウさんのお店って、どんな感じなんだろう?)
もしかしたら、体験バイトをさせてもらえるかもしれないと、いけない妄想に走っているあやねに「バイトはダメだ」トドメの言葉が出てくる。
(どうして考えてることがわかるんだろう?)
「顔に書いてある」
「本当ですか!」慌てて文字が書いてあるだろうと思われる頬をこすると「真に受けるな!」
「……すみません」