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アーモのネイルサロンへようこそ  作者: 夏八木 瀬莉乃
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54-1 次の契約者

 

 午後九時。

「ワンワン!」と鳴く声を聞いてドアを開けると「お帰り。今日は遅かったね。あれ?」

「……こんばんは」


「ワンワン」お客さんだよ、というように鳴くと足を拭いて部屋に入り、振り向くと「ワン」

「ああ、どうぞ、上がって」スリッパを用意すると「でも……もう遅いし」


「ワン!」

「じゃあ、少し遅くなると家に電話して」

「……でも」


「アーモ、どこで拾ってきたんだ?」一人掛け用のソファから声を掛けると「私の散歩コースにあるコンビニの駐車場で、一人、泣きそうな顔をしてクレープを食べてたから、連れてきた」


「エッ! 犬がしゃべってる? まさか、でも……」


「いつまでも玄関にいないで、とにかく上がって」急かされて部屋に上がると「まあ、懸念はしてたが、こうなるとはな」


「あなたは、桧山君の病室にイケメンチーフと一緒にいた、超美人のお姉さんですよね?」

「よく覚えてるな」

「それはまあ、ここら辺に金髪の外国人はいませんから」


「そうだな。で、ここに連れてきたからには、私に何かしろということなんだろう?」ソファ横のクッションの上で(くつろ)ぐアーモに聞くと「彼女を仲間はずれにしたのはお前だろう? 責任を持って対処しろ」

「……何か言ったか?」上から見下ろすように(にら)むミシュエル。知らんぷりのアーモ。


「その三。お茶入れたから、そこに座って」千奈津が横長のソファを勧めると戸惑いながら移動し、ソファに座ると「仲間はずれにしたとか、責任を持って対処しろとか、どういう意味ですか?」紅茶のカップをテーブルにおく千奈津に聞く。


 すると「私が説明する。あやねがネイルチップを付けてるのは知ってるな?」

「はい。ここのサロンで作ってもらったんですよね?」千奈津を見るので「そう。あれは私が作ったんだよ」


「あのネイルは特殊で、願いを一つ、叶えることができるものなんだ」

「……どういう意味ですか?」

「契約についてはこれから説明する」あやねに説明したように、契約書に記入した目標を叶える話をすると「私と契約するか?」


「……どんな願いも叶えてくれるんですか?」

「どんなことが願いなんだ?」

「それは……」


横恋慕(よこれんぼ)したいか?」

「まさか! みんなには幸せになってほしいから、そんなことしたくない!」

「そのみんなも、お前の幸せを願ってるぞ」

「……そう、かな」自信なさそうに呟くので「チィ。契約書を渡して記入方法を教えてやれ」


「もう用意してあったりして」その三の前に契約書をおくとガラスのペンを渡し「ここに願い事を詳しく書いて」例の場所を指すと「甘っちょろいことは書くな!」


「ミシュウ! 言葉が汚いっていつも言ってるでしょう!」

「いくら言っても治らん。諦めろ」

「アーモ、何か言ったか?」

「注意事項を改めて言ってやっただけだ」


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