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テイルズオブカタルシス  作者: そうはじん
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第六「捕獲」

第六話「捕獲」


私、リツカはきなこを名乗り、都市デルタにて情報収集を行っている最中で、冒険者登録をして、Dランク冒険者になった。

そして今、冒険者だけができる依頼を受けようとしていた。


「Fランクの依頼は全部100ガルド未満!?」

「わん!?」


思わず叫んでしまった。横でリードにつないでいるケロちゃんも驚いたようだ。

私は現在400ガルドしか持っていないが、これからのことを考えると、5万ガルド以上はほしいところである。5万ガルドがあれば、一か月は遊んで暮らせるという。

とりあえず、Fランクの依頼をやっていても埒が明かないようだ。


「はは。Fランクは一般人でもできるような簡単な依頼しかないからね。難しい依頼ほど、誰もやらないからそれだけ報酬金額も上がっていくわけさ」

「ふーん」


とりあえずEランクの依頼で探してみることにした。

(デルタの近くに出現したウルフ2匹の討伐)報酬200ガルド


お、これいいじゃん

ウルフとは、犬が凶変病により魔物となってしまった生き物の名称である。

ウルフの討伐は故郷のササキサ村でも何度か経験がある。そしてデルタ付近ということは、時間もかからないだろう

さっそく受付にもっていった。


「僕も一緒についていっていいかい?」


なんか冒険者センターをナビゲートしてくれたお兄さんが話しかけてきた。


「心配には及びませんよ。私は一人で大丈夫です。」

「その能力値なら大丈夫だと思うけど、初依頼だから心配してるんだよ」

「お気持ちはうれしいんですけど、報酬山分けになるのも嫌なので断ってもいいですか?」

「いらないいらない!報酬なんていらないから!」

「は...?心配してるだけでついてくるっていうんですか?」

「そうそう!変わり者だろ?」


断りたい。だけどここまでナビゲートしてくれたから断りづらいなあ。

私には断りたい理由がある。そう、ウルフを討伐するのではなく、浄化してあげたいのだ。それで報酬がもらえなくなってしまう可能性もあるが、凶変病のみんなをなるべく救いたい。目の前の命が助けられなくて、なにが勇者なの?って感じ


「すいません。他に用心棒がいるので。その方にお願いするつもりです。」

「ふむ。なら仕方ないね。まあ冒険者生活、頑張ってね!」

「あ、名前だけ聞いてもいいですか?」

「ああ、デニスだよ。君は...

「私はきなこです!またどこかで!」


リツカは偽名を名乗るとその場を後にした。


「きなこ...ね...」


そして私は、冒険用の服を着てデルタの外に出た。ケロちゃんのいい運動にもなりそうだ。

程なくして、ウルフを二体発見した。


「よし。ケロちゃん!ウルフ二体をこっちに引き付けて!」

「わん!!」


ケロちゃんは本当に賢い。颯爽とウルフ二体の前で威嚇をすると、翻して、私のほうへ走っていった。そしてウルフ二体はケロちゃんを追ってきた。見事に引き付けることに成功したのだ。


「はああ!!」


私はお父さんを思い出しながら精神を集中させた。

そして全身が光るのを感じ、それをウルフ二体に向けた。

光がウルフ達を包み、やがて光は消えると、二匹とも犬の姿に戻っていて、気絶していた。


「ふぅー!ありがと!ケロちゃん!」

「わん!!」


しばらくして冒険者カードが光りだした。カードを見ると依頼達成の文字が浮かび上がっていた。よし!浄化しても討伐判定になるようだ。


「んじゃ、帰ろっか!ケロちゃん!」

「わふ!!」


周りの気配に注意しながら浄化の力を使ったので、完全犯罪ならぬ完全救済だね


そして私は、猫を捜索する、鳥を一匹狩る、などの依頼をこなし、合計で400ガルドを手に入れ、現在の手持ちは800ガルドとなった。5万ガルドまで程遠いが、初日としては上出来だろう


「やった!ルンルルン!」


気付けば稼いだガルドを握りしめ笑顔で帰宅していた。


「貴族関係者なので、もう少し落ち着いた行動を心がけてね。きなこさん」

「あ、すいません。サーシャさん」


サーシャさんに見られていた。ほんとにすいませんんんん


そして、就寝前...


「きなこ、冒険者になったんだ!いいと思うよ。この先必要だからね。」

「まるちゃんは、なーんにも教えてくれなかったけど、私の探索力と、冒険者の優しいお兄さんのおかげで、何とかなったよーだ」


私はまるちゃんとベッドに横たわりながら話していた

これってやっぱり恋人以上の人たちがやることだよね!?


「一つだけ、忠告な。」

「うん」


まるちゃんは、いつものんきな事ばかり言うが、大事なことを教えてくれる時は、真剣な雰囲気になる。私はそれを感じ取り、真剣に聞いた。


「他の冒険者は基本的に全員敵だと思うんだ。」

「えっ?なんで?」

「言ったろ?そもそもリツカは全世界を敵に回してる存在なんだ。その中で脅威となるのは、俺たち軍の人間と、数々の冒険で戦闘力をつけた冒険者達ってことだ」

「そっか...100万ガルドの懸賞金がかけられてるんだもんね。お金を稼ぎたい冒険者は死に物狂いで捕まえに来るってことか」


考えが浅かったのかもしれない。冒険者カードには本名が記載されていたし、正体がバレた瞬間に全員が敵になる。AランクやBランクの冒険者が敵では、今の私なんて歯が立たないだろう


「そうだね...ありがとう。まるちゃん」

「とか言って、俺の事も疑ったほうがいいかもよー?」

「バカ。信じてるから。お父さんが居なくなった今、私が家族と呼べるのはまるちゃんとケロちゃんくらいなんだから。」

「ああ、ありがとな」


まるちゃんは私の反対方向を向いて静かになった。

照れてるのかな?意外とかわいいとこあるじゃん


そして翌日、私はまた冒険者センターに立ち寄り、依頼の掲示板を見つめていた。

冒険者カードはまるちゃんがフェイクの魔術を使って名前を偽装をしてくれた。これで全員が(冒険者きなこ)として認識してくれるはずだ


さて、今回はDランクの依頼に挑戦してみようかな


(ピラグーン川に大量のワニが発生、これを駆除)1000ガルド


おお!報酬がすごく高い!

でもワニかあ...かわいそうだけど、駆除して、剥ぎ取って全部売りさばこう!


そしてデルタ近くのピラグーン川にて大量のワニを駆除、剥ぎ取った毛皮と肉を売りさばいて、500ガルドを獲得した。


「はい。今回の報酬の1000ガルドです。」

「やった!ありがとうございます!」


報酬の1000ガルドを受け取り、これで手持ちは2300ガルドとなった。


そして1週間が経ち、Dランクの高難易度の依頼をこなしまくった私は、手持ちが1万ガルドとなり、さらに冒険者きなことして少しばかり有名となってしまった。その間に私と一緒に依頼をこなしたいという輩が後を絶たなかったが、全て断り、ソロ活動を続けていた。


「きなこさん!おめでとうございます!」


冒険者センターの受付嬢が今日の報酬を渡すのと同時に興奮気味で言ったのだった


「Cランク冒険者に昇格です!」

「え?やったぁ!」


周りの冒険者達はもちろん驚く。冒険者ランクでC以上の者はあまりいない。ましてや冒険者になりたての私がCランクになったというのは極めて異例なのだ。


まあ何はともあれ、これからはさらに報酬の高い依頼を受けることができるのだ。目標の5万ガルドまでもう手が届きそうだ。


そんなことを考えながら、日も暮れそうなので帰路についていた私だが、ふと私の冒険者になりたての頃を思い出した。冒険者でCランクのハゲに絡まれて、Bランクのデニスさんに助けられて...そういえばあのお兄さんって


「私の冒険者カード、見てなかったっけ...?」


やばいことに気が付いた瞬間、空から雷が走った。

雨が降りそうだ。早く家に帰ろう。


「やあ。きなこちゃん。」


聞いたことのある声、声の方向に振り向くと、見たことのある顔

そう、冒険者センターで会ったあのデニスさんだ


「デニスさん。久しぶり」

「久しぶり」


申し訳ないけど警戒心が強くなる。しかも周りから殺気も感じる。今日はケロちゃんをお留守番にさせてよかったのかもしれない


「さすがだね。僕の仲間の存在まで気が付いているんだ。じゃあ手短に聞こうか」

「ノーです」


自分を落ち着かせるためにあえて冗談を言った


「まだ何も言ってないよ?」

「何?もう遅いから早くして」


堂々とした振る舞いを見せ強気に出たけど、気づけば私の身体は一歩も動くことができなくなっていた


「え?なに...これ...」


デニスがゆっくりと目の前まで来た


「拘束魔術さ。君の感じた殺気は全員魔導士の殺気。念のため10人で君を拘束させてもらったよ。最厄の子リツカちゃん?」

「Bランクなのに...案外やることが...小さいのね...」


やばい、やばい、やばい

これはもう明らかに軍に通報されて人生終わりなパターンだけど、諦めちゃだめだ!なにか手は...


何を考えてもいい案が浮かばないので、力を振り絞ってみた。

すると私の足は動き出した。でも動きが鈍いままでは捕まる。だからもっと力を解放する!


「はああああ!」


私は拘束術の中である程度普通に動けるようになった


「さすが最厄の子だね」


デニスはこぶしを握りポーズを取った

明らかに戦闘態勢だ。周りの魔術師から倒していこうと思ったが、デニスが近すぎるので無理だ。やるしかない


「はあぁっ!」


デニスが右ストレートを放つ。それにはすぐさま反応したリツカだったが、身体が思うように動かない。かろうじて避ける形となった。

そしてかろうじて避けたリツカに2撃目を避ける余裕などなかったのだ。

デニスの左パンチがリツカの鳩尾に突き刺さる


「かはっ!」


かなり鈍い音が響くと共にリツカの身体は吹っ飛び、住宅の壁に背中から激突。壁にはヒビが入り、リツカの肋骨にもヒビが入った。


「はうっ!いったぁ...」


突然のことでよくわかってないけど、ほんとにやばい...もうダメだ。お父さん...ごめん...

リツカは壁に打ち付けられた後、吐血、殴られた箇所を抑えながら、その場で気絶した。




リツカ レベル15 Dランク


戦闘スタイル:剣士(熟練度50)体術(熟練度30)

スタミナ:500

魔力:75

物理攻撃:230

物理防御:110

魔法攻撃:75

魔法防御:230

俊敏:350

反応:300


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