表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男の中心でアイを叫ぶ  作者: 団長
男の中心でアイを叫ぶ事件
4/5

男の中心でアイを叫ぶ事件④

その日は痛みでほとんど寝れずに朝を迎えた。

起き上がろうとする度に強烈な痛みが襲い、立つことさえ困難を極めている。

なるべく刺激しないように、超不自然な程のガニ股移動を余儀なくされた。

一歩一歩、壁に手を当てながらゆっくりと歩く。


今この瞬間、誰かに一物にデコピンをされたものなら、

十代先まで呪う以前に絶叫の末、一秒で死ねる自信があった。


なんとかリビングまでたどりついたが、親父は既に仕事に行った後で、

弟もランドセルを担ぎ、今にも出て行こうとしているところだった。


『学校には電話して、二週間ぐらい休み取ったから。』


母はそう言いながら、忙しなさそうに朝の用事をテキパキとこなしていた。

こんな状態で学校など行けるわけがない。

通学途中で野垂れ死ぬと思っていたのでホッとした。


『んじゃ、いってきまーーす!!』


元気に出て行く弟を中腰で見守りつつ、椅子の背もたれに手をかける。


さぁ、俺座るぞ、さぁ、俺ゆっくり座っちゃうぞ!!!


心の中で覚悟を決めて、いっせいのーでで、ゆっくり腰を下ろす。


『フーーーーー!!!』


無事着席が成功したと同時に、クッションに少しだけソコがこすれた。


ハワアアアアアアアアアアアア!!


めさくそ痛い。


でも、暴れられない。


暴れたら全身全霊を持って、ニッコリと昇天する。


なんじゃこれ。


なんで、たかが座ることでこんな苦労せなあかんねん。


落ち着いてよくよくパジャマのズボンを見てみると見事に前が真っ赤になっていた。

ズボンのゴムを伸ばしてブリーフを見ると更に真っ赤。

あれ?いつの間に某レスラーのパンツ履いてたっけってぐらい真っ赤だった。

恐る恐るブリーフの中を見ようとしたところで無理だと悟った。

それは完全に血にこびりついた激戦区を剥がす事を意味するからだ。


無理無理無理無理。


そう思っていると、机の上にバサササ!と何かが置かれた。


『あんた、今日からパンツこれ履きや。』


それは親父のトランクス達だった。

ブリーフだと真っ赤になるし、何より窮屈で痛みを伴ってしまう。

親父のはぶかぶかだし、超敏感地帯に触れないで済むだろう。


母なりの気遣いだった。


図らずともトランクスデビューになるわけだが、

それは完全に血にこびりついた激戦区を剥がすことを意味する。


おいおい、殺す気か。


更に、机の上に白い包帯が置かれた。


『コレ毎日自分で替えや。』


思い出した。


そうだった。


そういや、医者が毎日包帯を取り替えてくださいとか言ってたな・・・。


ソコには何重にもミイラのごとく包帯が巻かれており、

化膿を防ぐためにも、空気に触れさせるためにも、毎日包帯を取り替える必要があった。


これはブリーフどころではない。

コレはブリーフ脱ぎ剥がすどころの騒ぎじゃないぞ。


机の上に置かれた包帯を見つめ続ける時間だけがだらだらと過ぎていった。


さっさとやれよと思うだろうが、本当にかなりの覚悟が必要だった。


とにかく少しでも前へ、大きな深呼吸をしたと同時に、パジャマのズボンを脱ぐ。

間髪入れず、ブリーフも行こうと思ったが、急がば回れだ。

いや、シャア専用ブリーフすぎて、さすがにびびっただけ。


恐ろしいほどの激痛に耐えながら、ゆっくりと剥がすように脱ぐ。


やがて、ソレは現れた。


グルグルに真っ赤な包帯に包まれたソレは痛々しいまでに腫れていた。

先端部分だけは見えていて、見事に皮がなくなっていることに気づいた。


まるで棒の先にさくらんぼがついてるみたいだった。


開放感に満ち溢れたのか、それともただ単に腫れ上がっているだけなのか、

二倍程大きくなったように見える。

しかし、初めて自分のソレを確認できたことの喜びはなかった。


この包帯を取れというのか・・・・・。


ただただ、その絶望感に溢れていた。


そして、その絶望は尿意と共に現実となる。


え?行けっつーの?この状態でションベンしろっつーの?


もはや、ヤケだ。

がたっとその場で立ち、超ガニ股でトイレへと移動する。


もちろん、めっさゆっくりだ!!


『我慢したら、膀胱炎になるからね。』


医者のそんな言葉が頭をよぎった。


とにかく出せねば、とにかく!!


少しの刺激でもあれほど痛いのだ。

絶対小を足す事にも激痛が伴うだろう。


どうして、僕だけが・・・・。


そう思わざるを得なかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ