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男の中心でアイを叫ぶ  作者: 団長
男の中心でアイを叫ぶ事件
3/5

男の中心でアイを叫ぶ事件③

ヤメテエエェェェェエエエエ!!


硬いベッドで医者、ナース部隊で押し付けられる。

ほんま無理やって、そんなん入るわけないって!!

途端に、鋭利な痛みがアソコを駆け巡った。


ギャアアアアアアア!!!


うーわ、痛っそ、みたいな顔で見守る親父。

そして間髪入れず二発目。


ヒギイイイイイイイイイイイ!!


念入りに角度を変えて一物にバッスバッス麻酔は刺されていく。

痛くないようにする為、超絶痛い箇所に超絶痛い太い針が刺される。


嗚呼、なんという矛盾だろう。


もう、どうにでもしてくれ・・・

もはや、まな板の上の鯉。

そして、何発刺されただろうか・・・。

すべての抵抗をやめ、放心状態で寝そべる自分に医者が声をかけた。


『ほら、見てみ。ヨウスケ君。』


死んだ魚のような目で医者を眺める。


『ほらほら、海坊主みたいになってるやろw』

『・・・・何が?』


早速麻酔が効いてきたのか、顔を少しでも上げるのもダルい。


『あんま見れるもんじゃないから、ほらw』


なんなんだ、この医者のテンション。

面倒くさそうに、上半身を起こすと、本当にそこに海坊主がいた。


え?・・・・・


いつも見慣れていたソーセージのような息子は、

パッツンパッツンに腫れすぎて、もはや別人になっていた。


本当にこれが俺の息子か?


なんと表現するのが一番妥当なのか、

例えるなら、細めの水風船だろうか。

水風船は悲しそうに泣いていた。

麻酔針で刺した箇所が二つ、まるで目のように血の涙を流していた。

パンパンでありながら、それでも入り口からソレは出てきていない。


『はは、ホントですね。海坊主みたいや・・・・。』


思わず、愛しくなって、その風船ちゃんを指でツンツンとつついてみたら、

いきなりバッチン!!と手をナースに叩き落された。


『コラ!!!消毒してない手で!!!!』

『なにしてるんだ!!勝手に触るな!!』


さっきまで笑顔だった先生達は目の色を変え、いきなり怒ってきた。


もうヤダ。


ゴロンと横になった。


ジンジンと痛んだアソコは、もうあんまり感触がなかった。

眩しい蜂の巣みたいな照明が。目の上で自己主張していた。


頭がボーっとする。


医者がメスのような物を持って、自分の下半身に近づけているのを見ていたら、


『すぐに終わるから目をつぶっていなさい。』


と、言われ素直に目を閉じた。


すると寝てしまったのか、本当に一瞬で手術は終わっていた。


病院を出て、おぼつかない足で階段を降りる。

一歩一歩降りるたびに、なにか重い違和感を感じた。

ただ、あれ程切られた割には、思ったよりは余裕だ。

痺れているような感覚はあるが、特に痛みはない。

だが、帰りの車内で重い違和感は、その内ジンジンと正体を現し始めた。


『なんか、痛くなってきた。』


まるでソコにもう一つ心臓があるような鼓動を感じる。


『あぁ、麻酔が切れてきたんやろな・・・。』


隣で運転をしながら、父が呟いた。


『麻酔??』


まだ、切れてなかったんだ。

気づいてしまったからか途端に痛みは鋭いものへと変貌した。


『ちょ、おとん、めっちゃ痛くなってきた。』


痛みは、時間が経つにつれ大声を叫び始め、

着いた頃には車から自宅までも歩いていられない程だった。

その場で座り込み、きつく目を閉じて我慢した。

ボタボタと変な汗が流れてくる。


明日どうやって学校行こうか・・・・。


いや、そもそもこの状態で学校行けるのか・・・・・。


ごまかすように、そんな事を考えていたが、

やがて、何も考えることもできないほど、脳内を痛みが支配していった。


『おい、ヨウスケ!大丈夫か?』


親父が声をかけ続けていたと思うが、ほとんど耳に入らない。

本当に、死んだほうがマシだと思えるほどの痛みだった。

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