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男の中心でアイを叫ぶ  作者: 団長
男の中心でアイを叫ぶ事件
2/5

男の中心でアイを叫ぶ事件②

車窓から流れている風景は、いつも買い物などを付き合う時とは違う。

見たことの無い街並み。

今にも雨が振り出しそうな、怪しい雲行きだったことをよく覚えている。


登校をサボってまでの病院。

運転席で終始無言の親父。

その時、父が何を考えてたかまでは知らない。

ただ、オレはといえば「まぁ、診てもらうだけ診てもらうか。」ぐらいの軽い気持ちだった。

着いた先のビル三階程に、その病院はあった。

小さい病院だったので、多分泌尿器科限定だったのだろうと思う。


医者は、『こうしたら痛い?ならこれは?』と、

しばらくオレの一物を触診しながら、反応を伺った後、


『間違いありませんね。』


と、親父の方を向きながら、確信したように頷いた。


『やっぱり、そうですか・・・。』


父は飄々とした様子で答えながら、空いている丸椅子に座った。


『まだ小さいうちでよかったですね。』

『そうなんですかね?』

『成長してしまってからではトラウマになりやすいですから。』

『しかし、まさか自分の息子がこうなるとは・・・・・』


なんなんだ、この重い会話。

段々と自分の置かれている立場が、あまりよろしくない事を自覚していく。


『なんか、僕ヤバいん?』


不安を抑えきれず、思わず聞いたら、医者はニッコリと微笑んだ。


『大丈夫やで。今からちょっと手術したら治るから。』

『うん・・・。』



・・・・・・・。



『え?』


今から!?

そんな即行するの!!!?


『どれぐらい切りますか?』


親父は息子の息子、いや息子の一物を指さしながら、医者を見た。


え?切るの?


ねぇ、そこ切るの?


『これからの成長を考えて、こっからここまでぐらいの皮を切ります。』


赤いペンで躊躇なく一物に線を書く医者。

なんかゴッソリと取ろうとしてることだけはわかった。


待ってくれ!!待ってくれ!!

そんなとこ切ったら死んじゃうよ!!


今日は触診で終わると舐めきっていた男は超焦った。


焦りまくった。


目が泳ぎまくった。


『いいいいやいやいやでも、お父さん。


僕明日も学校あるしjsふぃssdjふぃsdjふぃお』


『ヨウスケ・・・。』


肩に置かれる手。


親父の大きな手。


『・・・こういうのは早い方がいいんや、ヨウスケ。』


そう言って、ポンポンと肩を叩く。

とても、おだやかな笑顔。

本当に父はとてもおだやかな笑顔をした。


『・・・ほんまに?』


思わず、医者を見る。


『ヨウスケ君、ほんまやで。

 お父さんの言う通りや・・・・・・。』


彼もとても穏やかな笑顔だった。

すべてを諦めて、ガックリと頭を垂れた。


『大丈夫。痛くならないように麻酔してあげるから。』


そう言って、出された注射は考えられないぐらい針が太かった。


待て!!!


正気の沙汰!!!?


マジでそれココ刺すの!!?


そんなブットいの入るわけ無いよ!!!


ギラリと針の先端が光る。


地獄か、天国か、よくわからないものが手招きしていた。

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