自衛隊硫黄島基地
自衛隊硫黄島基地
ここは日本の最東端にある基地、航空自衛隊硫黄島基地。
そこに本部から警戒命令が発令された、先のニュースで現れたインベーダーとみられる少年と少女。
その2名が空を飛びここ硫黄島方面へと逃げたという情報、そしてスクランブルした捜索ヘリからSOSの発信が飛び込み、その後10分ほどで救助要請の謎のメール。
その送信名はROBO、基地の指令宛に送られてきた緊急メールだが、もちろんその宛名には見覚えもなく。
どこの馬の骨かと思っていたが、そのメールに書かれた情報には2名のパイロット名が書かれており、要救助の場所まで記されていた。
不審なメールではあるがあまりにも今の状況にピタリと合っている、それを無視するには情報が少なすぎる。
元より捜索はするつもりでいたため、すぐに緊急捜索ヘリを現地へと向かわせた。
『そうだ、その地区を重点的に捜索してくれ』
『了解、本機は03・37時該当の地区を捜索開始します』
結果から言うと2名のパイロットは衰弱してはいたが、ほぼ無傷で救助された。
不思議だったのは彼らが負傷していたにも関わらず傷が一つも無かったと言う事だ。
翌日調査隊を指揮し本格的な調査を行ったが操縦席にはほぼ助からないとみられる吐血の跡があり、血液型から両パイロットの血液と判断された、だが彼らには傷はおろか内臓の損傷もまるでなかったのだ。
そして彼ら2名から信じられない話が語られる。
「いいえ姿は見えませんでした」
「そんな話はあるか?」
「信じて下さい、本当なんです」
「嘘じゃないですよ、我々を助けそして宇宙人と戦闘したんです」
「目に見えない、味方それも2名?」
「彼の、いや彼女かもしれませんが一人は部下のような感じでした」
「そんな組織は聞いていないし、あり得ない」
「では我々の怪我はどう説明つけるんです?」
基地の診療所内で事情聴取を受けるパイロット2名、診断では貧血と衰弱により点滴を受けてはいるが、しっかり話すことも応対することもできる。
狐につままれたような話だが、それを嘘だと語るにはあまりにも情報が少ない。
それに彼らも宇宙人の姿は確認している、見たのは2名の外国人それも子供のような姿で、空を飛んでいたという話だった。
この話はすぐに空軍司令の元へと情報が送られた。
『それでどんな情報ですか?』
『南硫黄島においてヘリが墜落したが乗員は無事だと言う話だ』
『それだけじゃない、そこで例の宇宙人と謎の部隊が戦闘を行ったというのだ』
『謎の部隊?』
『助けられたパイロットの話だとその場には少なくとも2名いたらしい』
『それで宇宙人は?』
『そこは分からない、パイロットの話では逃げられたのかもしくは謎の部隊が殲滅したか』
『なんとも的を得ない話ですね』
『この件は通常の事故として通すしかないが、本当のことは我々がしっかり調査しないと、今後の事もある』
『そういえば外務省から大臣あてに情報提供の要請があったようですよ』
『やはりか』
『そちらにも今日中に指令が届くはずです』
USAの諜報部は超高感度衛星カメラを使用し宇宙人の動向をうかがっていた。
追跡もしていたが日本の領海に勝手に入るより、宇宙人の出方と日本の自衛隊がどう対処するかを見守っていたらしい。
もちろん硫黄島の基地が壊滅しようものなら友軍として介入するはずだったのだが。
目に見えない第三者によってインベーダーは粛清されその証拠は現地から忽然と消え去ってしまう。
後日外務省を通じ硫黄島の事故捜索に参加要請が入っていた、それはニュースになる。
「アメリカ海軍と自衛隊の演習が本日から1週間にわたり行われる予定です、MONニュースでした」
ヘリコプター事故のニュースも流されたがパイロットが助かった事と、日米合同軍事演習のニュースでかき消されてしまった。
現地にはアメリカ海軍から空母1隻と10艘の艦船、自衛隊からも5隻の艦船と小型空母そしてイージス艦2隻が参加。
宇宙人が戦闘した痕跡や謎の人物の痕跡を徹底的に捜索するために急遽USAから申し入れがあったためだ。
それは陸自の岩田幸造の元へも入っていた。




