江明訪(コウミンホ)
江明訪
彼の研究は幅広い、電子工学はもとよりエネルギー関係の研究だけではなく。
工業系の研究でもいくつかの論文を発表している。
「そういえば日本から特別な学生が来ると聞いていたのだが?」コー
「彼の事です」リー
「おれ?」宗助
「自動的全操縦ルアチャンの製作者が来ると聞いていたが、君の事かまだ学生だったのか!」
(自動的?ハッキングアプリの事かな?)
「えー」日本の学生
そういえばハッキングアプリの開発者などと言うことを、これっぽっちも周りには話していなかったりする宗助。
そんな話を初めて聞いた日本からの学生は全員が驚いたようだ、そしてなぜかアプリの事をここの研究生は知っていたりする。
「君の事を友人達も知らないようだな」
「ええ、話していませんから」
「聞きたいことがある、後で話をしよう」コー
「構いませんよ」
「呂方君、教授に気に入られたようだな」高坂
「そうですか?」
ハッキングアプリ、こちらでは自動的全操縦ルアチャンと呼ばれているそうだ。
宇宙人の侵略から地球を守るために造られた装置、そのアプリを作成した人物を特定するのはそう難しくない。
と言うかすでにUSAやUKでアプリについて講演をしていれば、その道のプロフェッサ―達の目に留まらない訳がない。
そしてその開発者が若干18歳の学生だと聞けば興味が出ない訳がない。
そしてハッキングアプリを中国で導入するために、ここベジュン工業大学に政府から調査の打診が来たのは今から半年前の事。
最初の宇宙戦艦襲来以降、そのような道具がどこかにあるとここ中国でも噂になっていた。
最初はそのアプリがUSAの開発だと聞いていたが、二回目の侵略攻撃の際なぜかその道具の利用を日本から打診されたのだ。
アプリを使用するに当って許可が出るまでに数日を要したのは、中にウィルスのようなものが仕掛けられていたりしないか、安全なのかの判断が必要だったからに他ならない。
普通なら検査が通り許可が出るまでに数か月を要するのだが、差し迫っていることもあり1週間という異例の速さで実戦投入された。
研究者自ら現場に到着し使用してみた所、確実にガイアギアを制御することが可能だと判断。
それからは中国全土でハッキングアプリの使用が許可された、それからはコー教授を含め数人の研究者が今でもハッキングアプリの研究を継続している。
「私の研究は電子の大きさにおける量子量の変動などだな」
「ほー」高坂
「私は同時にアプリの研究もしているのだが、そちらの方は君の方が詳しいのだろ」
「僕ですか?」宗助
「あの後も改良が加わっている、よくできたシステムだ。私だけではない他の教授も感心していたよ」
「あ ありがとうございます」
(おいロホウなんて言われてんだ)
(アプリが良くできているって褒められた)
(俺も中国語習おうかな…)
(リーさん目当てか?)
(そ そんなことは無いぞ)
この場で中国語を話せる学生は宗助だけ、少しぐらいなら理解出来ても話すとなるとやはりちゃんと勉強するしかない。
高坂准教授はそこそこ話せるようだが、大学内では専門用語の方が良くわかるらしい。
「あの~」
「はい?」
研究助手の一人だろうか、眼鏡をかけた女性が一人宗助に質問か何かあるようだ。
「日本語?」
「私は日本語勉強しました、それでえーとこれを」
手を出すとそこには折りたたんだ紙が一つ、どうやら伝言のようだが。
「おいロホウなに貰ったなんだ」
「何だろう、後で見てみるよ」
「見せないのかよ」
「個人のプライバシーは尊重しないと女性にもてないぞ」
「う」
(馬鹿な奴)
手渡された紙に何が書いてあるのかは別として、昨日の事件がまるで語られないのが宗助には不思議でならなかった。




