そもそもどうしてこうなった?
そもそもどうしてこうなった?
そもそもの発端は超能力者達への扱いが原因だった。
彼ら超能力を持つ学生達は特殊なカリキュラムを強要されていた、肉体的にも精神的にもいくつもの制限をかけられ。
大学とは名ばかりの研究棟に独房のような部屋に一人ずつ隔離されていた。
食事も休憩時間も実験と言う名のもとに厳しく管理され外出などはほとんどできない状態、そんな過酷な人体実験に何か月も耐えられる分けなど無かった。
その中で知り合った15人がいつしかテレパシーを仲介して、研究棟から逃げ出す計画を立てた。
まず一人が嘘の情報を流す、そう航空機の事故など実は彼らの作ったデマだった。
研究棟で使用されるWifiに侵入し、どこから手に入れたのか飛行機事故の映像をAIで加工してニュースとして流す。
研究員の脳を配下化し、思考を乗っ取ることができれば後は計画通り、次に研究棟に設置されたセキュリティを解除して外へ出る。
逃げ出した後は空港へ行き航空機を乗っ取り、どこかの国まで逃げるという計画だ。
だが、その研究員達全員に仕掛けがしてあるとは思わなかった。
研究員には1時間に一度スマホに入れた管理アプリの出す信号を解除するよう指示されていた。
解除しなければ約1分で緊急アラームが研究棟内部だけではなく軍部にまで知らせが行くという。
一人二人の研究員ならまだしも10人以上の研究員、全員が時間差でアプリの解除を義務付けられていたとは。
アラームが鳴れば軍が粛正にくるまで10分もかからない、それまでに15人全員が逃げ出すことなど無理だった。
案の定、外へ出ようとしたところで容赦のない銃撃が始まってしまい、やむなく籠城する羽目になったのだという。
特にESP部隊が発足してからはこの国のセキュリティが一層厳重になり、大学の校舎であってもこの地区だけは発砲が許可されていたりする。
超能力と言っても万能ではない、宗助のような長距離の転移能力があればなんとかなったのかもしれないが。
テレパシーや精神誘導能力とわずかなテレキネシス、一番強い能力者が防御のみに特化した者だけで、15人全員が逃げおおせる可能性は限りなくゼロに近い。
まあそれでも運だけは良かったのだろう、その日その場所の近くに宗助がいたことが彼らにとっては最大の救いだったのかもしれない。




