長いトイレ
長いトイレ
この間約40分、宗助が戻って来ない事にしびれを切らしたリーさんが男性用のトイレを覗こうとしたが。
途中まで行って、さすがにそれはできなかったらしい。
そして何食わぬ顔で現れた宗助に向かって全員が言葉を放つ。
「なげーな」
「ながい」
「下痢か?」
「今朝変な物食べたからかな…」
「何食ったんだよ」
「キムチ」
などと返事を返していたら兵士たちの声が聞こえてきた。
「戒厳令は終了したらしい」
「撤退命令が出てる」
「撤収!」
「ようやく外に出られるぞ」
「ガヤガヤ」
「まだこの国はなにか問題があるのか?」准教授
「今日だけみたいですよ」宗助
「なんでわかる」
「さあ、なんででしょう」
「…」リー
(ソウスケは何か知っているのかも)
さすがリーさん勘が鋭い、まあ彼女の能力には超能力とまで言えないスキルが2つほどあるが。
それ以外にもいくつかのスキルが元々有ったりする。
香りに敏感だったり、人の動きに敏感だったり。
それは超能力とまでは言えない物ではあるが、トイレに籠っていたはずなのにその匂いが火薬の匂いだったりすれば。
何かを疑うのは当たり前である。
「ここからはバスですよね」
「予約を入れてあります」リー
自動運転で運行されている小型のバスには20人以上が乗車可能であり、乗り合いバスとは違うバス停で待たなければならない。
「プシュー」
「来ましたよ」
「さあ乗って」
一行が予約したホテルは大学から少し離れた場所にある中規模のビジネスホテルだ。
「プシュー」
「ここか?」
「チェックインしましょう」リー
入り口はそこそこの広さだが、ここはペジュンの歓楽街から近い場所であり。
遊びに来る旅行者が良く使うホテルだった。
「11人で予約したリーです」
「はいこれがキーです、なくさないで」
「4部屋」
「3人ずつとリーさん」
「私は一度家に行きますから、明日朝に迎えに来ます」
「そうなんだ」
「じゃあ教授が一部屋ってことだな」
「別に相部屋でもいいんだぞ、いやか?」
「そんなことは無いですが…」
「なんだ、来期の単位も免除しようと思ったんだがな~」
「マジ」
そう聞いて2人が同部屋を希望するが、残りは遠慮することを決めた。
どちらにしても一部屋最大4人まで、ベッドは2つしかないので3人目はソファで就寝することになる。
後で聞いたが部屋に入るなり准教授は学生相手に講義を始めたのだとか、まるで補修を受けているようだったと学生談。




