新たなアクシデント
新たなアクシデント
そういう事件が増えている、世の中が不安定になると騒ぎ出す人たちがいる。
まあ仕事が減れば悪いことに手を出す人が増えるのはこの世の常だろう。
そして日本と比べたらどの国も治安は悪いと思わざるを得ない、だが日本が特別なんだと思う人が今ではほとんどだろう。
「ビービー」
「何の音?」
「皆様テロリストが侵入したと知らせがありました、すぐにこの場を離れましょう」係官
「分かった」
「森山さんも一緒に」
「なんだかあわただしいが、分かった」
「ガヤガヤ」
周りの席に座っていた人達もどんどん席を立つと足早に会場を後にする。
【アーバン外はどんな様子?】
【建物からどんどん人が出て来るのが見えますが、中に入っていく人はいませんね】
以前にもこんなことがあったのを思い出す、この会場にもSVRが数人いて能力を使用して不審者を割り出しているところだが。
「ドドーン」
「キャー」
ちょうど出入り口に差し掛かったところで外壁の一部が爆発で崩れてきた。
「早く逃げろ!」
「私たちも早く離れましょう」ミランダ
会場を後にするとここで全身黒ずくめの一団が登場する、手には武器を持ちなにやら大声で叫んでいるが。
まさかここでその物騒な武器を使用するのだろうか。
「タタタン」
「キャー」
「頭を下げろ!」
【光学迷彩】
《ここで待ってて》
「みんなここにいて」
「え?」ミランダ
「呂方君は?」森山
「逃げた?」ソフィア
「違いますあそこです」ラケイス
眼では見えないがラケイスが指をさす方向にはテロリストと思しき集団が爆発で壊れた建物に向かって走り出していた。
走りながら周囲の人に向け自動小銃と思しき武器のトリガーを握っている。
「パパパパン」
「何してる、早く中に入れ!」
「せっかく手にしたんだ、一度ぶっ放さないと面白くない」
「やり過ぎれば余計疑われる、すでに計画にずれが生じているんだからな」
「少し時間がずれただけだろ」
「道が混んでいたのは誤算だった」
「たかが10分の遅れだろ」
「仕方がない、だがここからは無駄に動くなよ」
「ああ」
何を企んでいるのだろう、政府の要人は殆ど建物から避難していると言うのに。
だがそこに外で様子を見ていたリリーズのアーバンが銃を乱射していたテロリストへ向けて蹴りを放つ。
その小さな体からは想像もつかないパワーで放たれた蹴りがテロリストの頭へとヒットする。
「バチュン!」
「グエ」
「バタン」
「どうした」
「敵だ!」
そこからは宗助とアーバンの独壇場、なにせ見えない敵に一人ずつ倒されていくのだ。
今回宗助が連れてきたリリーズは1体、こんな場所で世界中の要人が集まるのだ。
悪さを考える人物の標的になる可能性を考えないわけがない。
但し今回の爆発からの侵入占拠と言う流れは本来の計画から少し外れているように感じた。
【あと2人か】
【すでに会場の中へ入ったようです】
【おかしいな】
【順番が逆ですよね】
そう本来なら彼らは先に要人の人質を取り拉致を完了してから爆発を起こす、それが計画だったのではと思われる。
それなのに順番が逆なのは彼らのミスなのか、それともわざとなのだろうか。
爆弾はどうやらタイマー式だったのではと思われるが、詳しい話はテロリストのリーダーを捕縛してみないことには分からない。
【スキルロボ】
【金で雇われたみたいですね】リリー
【内容はやはり要人を人質にとるってやつだな】
【アラブの王族を鹵獲する計画です】
【要救助者は?】
【奥の準備室に全員いるようですが、そこにはUKサバイバーが5人で守っています】
【大丈夫そうかな…】
【一応声かけますか?】
【成り行きは見守らないとね、敵の増援も無いとは言えないし】
宗助とリリーズのおかげで最小の犠牲で済みそうだ、銃で撃たれた人は宗助がスキルで直していく。
小さな傷は命にかかわらない限り放置し、致命傷の部分はROBOスキルで修復。
直した後も数分気絶して起き上がれないという命令を与えておくことを忘れない。
致命傷を負ったのは3人だが、目が覚めた時には何が自分の身に起こったのかも忘れているだろう。
【進もう】
【ラジャー】
敵のテロリストには数時間、活動できないようにスキルで行動制限をして、残る2名のテロリストの後を追ってみる。
「パパパン」
「パンパン」
機関銃とは別に拳銃の音も聞こえてくる、多分SVRが応戦しているのだろう。
超能力が有っても機関銃に対抗できるかどうかはその能力によってさまざまだ。
宗助のようなスキルが潤沢にある超能力者なら別だが、テレパスや初級のテレキネシスぐらいならば機関銃の前では無力だろう。
だがなんで奥の準備室に主要国の要人がとどまっているのだろうか。
【宗助様詳しくはテロリストのリーダーに聞いた方がよろしいかと】
【結局全部やらないといけないのか】
【運命です】
散乱した書類や壊れた椅子などを飛び越し、人がいると記された場所へと最短で走り抜ける。
そこではテロリストとSVRが最後の交渉をしている最中だった。




