宗助のプレゼン
宗助のプレゼン
森山さんの話は収益性の高い装置の入手にいくら出せるかではなく、大陸間転送装置が未来をいかに構築していくかと言った先進的な構想についてだった。
用意された映像や画像を所々ではさみこんで語られる壮大な物流の未来のかたち。
その中には地上タイプの転送装置だけではなく、まるで宇宙船のような空飛ぶ船が一瞬で他の国へと移動する映像も含まれていた。
「ソウスケはあんな未来になると思う?」ミランダ
「宇宙人の科学技術を解析すればそれほど遠くない未来にはそうなるんじゃないかな」
「フーン」
《ソウスケその子は后候補なの?》
《え?多分違うよ》
《私は構いません、何十人伴侶がいても》
《そうなんだ》
《はいあなたは既にこの星の王の一人、その方に一時でも愛されれば私はそれで構いません》
「何か話してたりする?」ミランダ
「あー知りたい?」
「教えて」
「ラケイスさんは俺が何十人妻を娶っても構わないらしい」
「は?」
「もちろん僕はそのようなつもりは無いけどね」
「そうよね、そんなの困るわ」
「困る?」
(私の虜にする予定なんだから!)
そう言いながら宗助の手に自分の手を伸ばし重ねて来る、まあそのぐらいまでは許して構わない。
反対側の手はラケイスの膝の上にありガッツリ両手で握られていたりするのだから。
「パチパチパチ」
どうやら森山さんの演説は終わったらしい。
「Mrロホウ私に付いてきてください」案内係
「私も行きます」ミランダ
「では私も行きますね、婚約者ですから」ラケイス
(うーんこれじゃ鹵獲できないじゃない)
自分より身長の高い美女が二人も宗助の後ろを付いてくる、一人はスーツ姿に身を包むが。
そのはちきれんばかりの胸にスーツは窮屈に見える、ミランダの身長は188センチもあり宗助より5センチほど高い。
そしてさらに後をブラウスとロングスカートに身を包み藍色のジャケットを羽織ったラケイスが続く。
彼女の身長は2メートルと3センチ、今回はローヒールなので歩くのにそれほど支障が無いが本来彼女の神殿では裸足で歩くことが普通らしい。
2名の美女を引き連れて中央に設置された壇上へと上がる宗助、今回はインベーダー撃退アプリの開発者として一言述べてくれとの話。
昨日もSVR達の前で話した話だが、バージョンアップの話はどこまで話すのだろうか。
スマホアプリもあれから何度かのバージョンアップが行われ、今では使用権の範囲も変更がなされたと聞いている。
契約に対してもいくつかの変更が求められていたりする、それはアプリのバージョンアップに関する利用地域及び利用目的の変更。
たとえばスマホ一つで各種のミサイル発射ボタンを兼用できるとか、そこら中に仕掛けられた時限爆弾をスイッチ一つで爆破できるとか言う機能の話。
どんなシステムもスマホ一つでハッキングできるというのなら、それらの仕様変更は今後可能になって来るだろう。
今の所そこには触れないが、唯一OKを出している機能が対人地雷の広範囲探索機能。
簡単な地雷に限ってのことだが、紛争が終了した地域での簡単な地雷探索をスマホ一つで可能にするという。
地雷が発する微弱な電波を読み取り危険を知らせてくれる、それをハッキングアプリに組み込んだならどうなるだろうか。
現実にはまだ試作段階ではあるが、その有用性は紛争地域によっては開発を待ち望んでいるに違いない。
【リリーさん頼めるかな】
【お任せください】
「それではMrロホウお願いします」
そこからのお話は全てAIリリーさんにお任せしておいた。
細かい理論など答えを求められても宗助には答えようがない。
ある程度の仕組みは最近徐々に理解できるようになったが、細かい専門用語を使用した答弁は本当の開発者に任せた方が良いだろう。
「Mrロホウ、ありがとうございました」
「パチパチパチ」
拍手が鳴りやまないのは、そのアプリのおかげでEU全土のインベーダーを撃退することができたからだが。
まさかここまで事が大きくなっていくとは考えていなかった。
「貴方やっぱりそうだったのね」
「何のこと?」
「まあ今は聞かないでおく、でもこれで決まりだわ」
通路を歩いて所定の席まで戻る間ミランダは宗助にそう言った。
それがこれから起こることの次なる事件の始まりだとは思わなかったのだが…




