彼女の家は
彼女の家は
どうしてそうなって行ったのかは俺にもわからないが、彼女の家である亡き父と暮らしていた思い出の家は、築40年以上という彼女の亡き母の実家だという。
すでに祖父と祖母も他界しており、相続は彼女一人という形で売るのはやはりできなさそうだ。
それでどうせなら建て替えて俺たち家族と同居しないかという、飛んでもびっくりな話が持ち上がった。
確かに今の高層マンションは気分的には良いがなかなか暮らすには面倒なところも多い。
母はすでに次の引っ越し先を探していたのだが、自分の持っているマンションで近場の物件はすでに借りられているし、兄の経営する不動産会社で探してもよいが。
そうするとまた一から調べないといけないらしい、母はどうしても一戸建ては自前にこだわっている。
そうなると土地から探すことに、お金もそうだが時間もかかりそれからは内装やらなにやらととにかく面倒くさいという話。
だが土地さえ決まれば後はそれに合わせて家を建てればよいので、時間が省けると言う事。
それに木下さんの家は、割と立地条件は良いという話で土地も壊された前の家より広いので立て替えるならば3階建ての9LDK+までの建物を建てられるらしい。
そしてその話に木下さんまで乗り気になっている、同級生と一緒に暮らすのは少し恥ずかしいというか、これでよいのかとか考えてしまうが。
彼女と母が2人して乗り気でそこに妹まで喜んでいるという状況に誰も反対などできず。
とんとん拍子でその方向への話が決まってしまった。
「じゃあこの書類にサインして」
「はい」
一応土地は借りるという形だが、家賃はゼロその代わり建築費や維持費はすべて母が出すという契約書。
親しき中にも礼儀あり、約束も書面にしておけば将来が安心だと言う事だ。
「でも本当に良いの?」宗助
「え!私と一緒に暮らすのは嫌なの?」ゆり
「え~というかいいの?俺は一応男なんだけど」
「でも一応一晩だけど一緒に寝たよね」
「いやあれは不可抗力でしょう」
「一緒に寝ることができて安心できるなら大丈夫でしょ」
「木下さんがそれでいいなら、もう何も言わないけど、後で何か問題が起きても知らないよ」
「何が起きるの?」
「え…それは」
口に出すことさえ恥ずかしいことなど言えるわけない、まあ半分彼女はからかっているみたいだ。
だがそこまで彼女のメンタルが回復しているのが今はなぜかうれしく感じている。
「さ 夕食の支度するわよ」
「手伝いま~す」
まるで親子というより姉妹のようにキッチンに2人で立つ、後ろから見ていると確かに所作も似ているのだこの2人は。
彼女の部屋となる来客用の部屋にはすでに新しいベッドと布団がセットされて、さらに勉強用の机も購入され臨時ではあるが彼女の部屋として使われている。
ウォークインクローゼットも、彼女の家から運び入れた服がかけられていて、なんとなくそこへ入るのは気が引ける。
たまにお風呂がかち合うとどうしても恥ずかしい思いと欲望が出てしまいそうになるが。
慣れれば今度は彼女の方からからかうような仕草で迫ってくる、俺は何とかそんな状況を間違わずに暮らしているが。
「そうちゃん」
「ゆりちゃん」
呼び方まで指定されてしまった、ただしこの呼び名は家の中のみ学校では苗字で呼ぶことにしてある。
そして数日が過ぎ、忘れかけていた話が進みだす。




