百合奈は心配症?
百合奈は心配症?
もうすぐ東京でも雪が降るだろうと言われているが、本日はそれほど寒くは無かった。
午後10時、ラケイスの泊っている部屋へ訪れた宗助、話をしている最中にまさかのアクシデントが起こった。
百合奈が明日の予定などを聞こうと脳内通信を通して宗助を呼び出してみる。
【そうちゃん】
【…】
【あれ?返事が無い】
【ママ、宗ちゃんは?】
【部屋にいない?】
【返事が無いんです】
【おかしいわね】
【どうしたの?】
【宗ちゃんから返事が無いんだけど…】
【確かラケちゃんの部屋よね】アイリーン
脳内通信で話しながら階段を降りて行く、2階まで降りると美土里とアイリーンが部屋から出て来る、どうやらエミリアは就寝しているようだ。
「そういえば叫び声しなかった?」
「ラケイスさんのとこかな」
「可能性は高いわね」
3人で恐る恐るラケイスの泊っている部屋まで行ってみると。
ドアは開いており灯りが漏れているが、部屋の中には誰もいなかった。
「どこ行ったのかな~」
「変な声がした後よね」
「あれってラケちゃんの声?」
「ねえもしかしたら、あれじゃない?」
そこには黒光りするGが床を横切っていく、よく見るとそこには奇妙な形の欠片が落ちている。
「あ Gが出た、殺虫剤!」百合奈
「シュー」
「まだ新しいのになんで…」
「窓じゃない」
来客用の部屋だが小さな窓が付いている、そして窓は開けられたままだった。
「あそこから入ったのね」
「でも2人は?」
「この残骸みたいなのってもしかしたら椅子?」
「聞いたことがある、宗ちゃん瞬間移動する時って、できるだけ外にするのは周りの物質を巻き込むからだって」
「じゃあ瞬間移動したかもってこと?」アイリーン
「そうだと思う、それも予期せぬ瞬間移動かもしれない」百合奈
「そういえば床も色が変わっているわ」ママ
椅子の一部と床の表面が削り取られたかのように変化している。
「ラケちゃんが宗助まで巻き込んで瞬間移動したってこと?」アイリーン
「どうしよう」百合奈
「心配だけど待つしかないわ」アイリーン
「多分大丈夫よ」ママ
「え?」
「テレパシーや能力は残ったままでしょ」
【そういえば、リリーちゃん】
【はい百合奈様】
【宗ちゃんどこ行ったかわかる?】
【ご主人様は多分惑星YAKへと行かれたのではと推測しております】
【なんで?】
【推測ですが、ラケイス様はGと呼ばれる昆虫に驚きこの場所から逃げようと思われたのではと…】
【惑星YAKにはGが居ないのかしら?】母
【多分いないんだ…】アイリーン
【宗ちゃんが居なくなるとあなた達の力も無くなるのよね】
【理論上はそうなると思われます】
【待ちましょう】母
【そうするしかなさそうね】
【緊急時には1日以内で連絡が入る予定です】
【いなくなってからどれくらい?】
【まだ1時間と10分です】
こういう場合は一番心配しそうな美土里の顔をうかがう二人。
母親である美土里はこういう場合でも割とのほほんとしていたりする。
まあ若い娘にはそれが不思議に見えるが、もう一人の親である敦之はすでに夢の中。
力を失っていないことが宗助の無事を確定しているようなので一応は胸をなでおろすが。
帰還した後で宗助から何が語られるのかまでは考えていなかった。




