いきなり神王会議
いきなり神王会議
確かに彼らの中で一番背が低いのはラケイスであり、さらに背が低いのは宗助という事になる。
まさか他の神王がこんなに早く姿を現す状況になるとは思っても見なかった。
「今日は番になる儀式ではなさそうだな」ゼロイス
「違うのか?」
「お披露目だろう」
「そうなのか、ではまだチャンスがあるという事か」
「それは無いぞ」
「え?」
「貴方何を聞いているの、ラケイスはそこの色男に心底惚れていると宣言したのです」
「確かにいい音、私も加えてほしい」
「そうかしら、バランスはいいようね」
「不敬なことは言わないで」ラケイス
「仕方ないじゃない美の神王なのだから、美しさが全てよ」アマテラ
「それで、神儀は先に延ばすとして他にもあるのだろ」ゼロイス
神王達が勝手に話している間に巫女達がせっせと料理を運んでくる。
それにしても大きな座布団だ、クッション性もなかなか良い。
ラケイスの神殿に所属する巫女達が介助役としてそれぞれの神王の隣に着き、料理を取り分けたりしている。
「うむ、これはうまいな」
「今までの料理と違うぞ」
「新しい奴か?」
「肉じゃないのに味が肉に近い」
「こちらの宗助様から教わった料理です」
ラケインが調理場に戻り指揮をしていたりする、まだラケインのことは他の神王には秘密らしい。
ラケイスから受け取った情報からいくつかの料理を、この星用に改良を加えて神王達に振舞っている。
ラケイスのデータには惑星YAKの食生活は質素であり、肉以外の食料はパンに似たものがほとんどだった。
パスタや米と言った形での食べ方は無かったらしい、確かに小さな粒や細い麺を食べてもなかなか腹は膨れない、だがそれも地球のように工夫を凝らせば問題は解決できる。
食生活の多様性においては地球が一番進んでいるのだから。
「これはうまいな、こういう料理もありだな」
「皆様、沢山ありますので」
1メートル以上もありそうな大きな皿に山盛りのパスタや野菜の炒め物がどんどん運ばれてくる。
「それでソウスケ神王、我らにどうしてほしいのだ?」ゼロイス
食事をしながらこちらに目を向け、まるで全部お見通しだとでも言いたそうな顔をするゼロイス神王。
彼が全ての神王のまとめ役であるという。
「私は和平を結びたいと思います」
「ふむ、ではその見返りは?」
「我が星との交易と技術の供与です」
「それは我らにとって有益なのか?」
「有益です、少なくとも人が死ぬことはないはずです」
「死なない?すでにゴリアンとロマンテが差し向けた戦士が犠牲になったのにか?」
「死んではいませんよ、私が送り返しました」
「ゴリアンの奴、何も言わないと思ったら失敗していたのか…」
「先に送った戦士たちもか?」
「ええ、そちらも送り返しましたよ」
「何時わかる?」
「一月後」
「要するにその時が来たらゴリアンとロマンテを止めれば良いのか?」
「あ 奴らがこちらの言う事を聞くか?」シェイロン
「聞かねばまた追い返されるだけだろう、無意味なことだ」
「無駄だと教えてやれば良い」
「ソウスケ神王、そなたは二つの星の王で間違いないのね」アマテラ
「いいえ一つは神王に近いですが、もう一つの星では代理人です」
(地球の方はあまり断定しない方がよさそうだな)
「我らは元々侵略には賛成しておらん、だが止めているわけでもない、それがこの星の規律であり神王同士の取り決め。」
「そちらの星でもこの話、煮詰めるのであろう」
「はい」
「偽りのない音」マリリス
「ならばラケイスの祝いの席、我ら9神王の名のもとにラケイス神王とソウスケ神王に和平と友和の道筋を託そう」
「それでよい」
「いいわよ」
「うぬ」
「構わないぞ」
「食い物が良くなればいいな」
「ふむ」
「未来の音」
「…」
「それは楽しそうだ」
まさかこんなにすんなりと9人の神王がこちらの意向をくみ取って和平に向けて話を進めてくれるとは思っても見なかった。
途中でこちらの精神に触れてこようとした神王もいたが、その行為を他の神王が横から制止するのだから。
まるで全てお見通しであり、確実に良い道筋が初めから分かっているとでも言いたげだった。




