ラケイスとラケイン
ラケイスとラケイン
巫女からの知らせを受けて友愛の間へと急ぐラケイン、まさかラケイスを袖に振るような人物が居ようとは思わなかった。
強いては自分も拒否されることつながる、知識を共有したラケインも宗助が婚姻する相手として理想であると認識している。
その前にラケイスが宗助の事を愛し始めていることがやや気がかりだったが。
「嫌いにならないで」
「君とつがいになるとは言ってないよね」
「何があったの!」
「ソウスケ許して」
「どういうこと、貴方はお姉さまを拒絶するの?」ラケイン
「拒絶?なんでそうなる、言っておくけどラケイスと出会ってまだ1か月と少し、この星の時間だと1週間と少しだ」
「お姉さま急ぎ過ぎましたのね」
「僕は他の星の人間だ、君らとは違う考え方をしている」
「それに僕にはやらなければいけないことがある、この宇宙で人族同士の争いを無くすことだ」
「はいそれは存じております」
「僕はそのためならこの星を消すかもしれない」
「それはどういう?」ラケイン
「お互いの事をまだ十分に理解していないでしょう」
「私はそれでもかまいません」ラケイス
「困った人だな…」
「確か君は第二夫人でも良いと百合ちゃんに言っていたよね?」
「言いました」
「僕は百合ちゃんとまだこういうことを何もしていないのだが、君は約束を破ることになるよね」
「確かに、私は2番目でよいと言いました、ごめんなさい」
「え!」
(お姉さまが謝罪した…)
「それほど好きになってしまわれたのね」
「宗助様、お許しください」
「勝手に事を進めてはいけないよ、それはどの国やどの星でも守らなければいけないマナーだ」
「分かりました、あなたの意志に従います」
「それじゃこの星の事をいろいろ話してくれる?僕も知らなければいけないからね」
まさか全裸で沐浴がお互いの体を確かめ合うための儀式だというのだ。
婚約をした後で行うのなら二人きりで行うものだと思っていたのだが、どうやらこの神殿にいる巫女を含めた全員の前でお披露目することになっていたとは。
巨大な温水プールには10人近いヤコブ族の巫女が、ほほえみを浮かべて手招きしているのだから驚いた。
全員が身長3メートル前後というのだから縮尺の感覚がバズってしまいそうになるが、そこに男は自分だけというのは勘弁してほしい。
まるで自分が色欲におぼれて虜にされるような場面が浮かび上がってくる。
ラケイスの神殿にいるのは女性ばかりだというのは分かっていたが。
男がいないというのは、自分の考えが及ばない世界だという事が分かった。
「分かってくれたならそれでいい、僕はここでは来客であり旅人の一人、君が家へ来た時と同じなんだよ」
「そ そうですよね、私勘違いしてました、それではお食事の支度を」
「あー食事はいただくけど、すぐに帰るからね」
「そんな…」
「君も一緒に行くでしょ」
(私も)
「行きます!」
「向こうでもう少し話し合おう、僕の力があればいつでもここに来られるから」
「なんと!」ラケイン
「宗助様は瞬間転移もテレパシーも身体強化も使えるのです」
「そうでしたのね」
(そういう事でしたのね)
「今回急にここへ飛んだのは、アクシデントと言っていい」
「アクシデント?」
「この星には居ない生物が出て驚いたらしい」
「そうなのですか…」
「できれば何度も行き来きできるように、この城に転移専門の部屋か場所が欲しいな」
「分かりましたすぐに用意します」
「それよりお話が…」
「何?」宗助
「今宵の宴会に9人の神王を呼んでしまいました」
(マジか!)
今更ここに呼び出した神王を追い返すわけにはいかない、一応宴会での同席は了承したのだが。
まさかこの場でしかもいきなり神王会議を行うことになるとは思いもよらなかった。
これはうれしい誤算かもしれないが、果たして他の神王達が宗助を受け入れてくれるのだろうか。
それぞれが国の王様であり、ラケイスのデータではそれぞれの神王は数千万人の神民のトップに君臨している。
もちろん彼ら全員がトップクラスの超能力を持っていることも分かっている。
「そんなに急ぐ理由がどこにある」
「ごめんなさい」
「仕方がない、少し予定が早まったという事か」
この場所にやって来てまだ1時間も経っていないのに、次々と問題が起こるのは宗助のせいではないと思いたいが。
運命は彼をどうしても救世主にしたいようだ、他の神王がどのような力を持ちそしてどんな考え方をしているのかも気になる。




